スカイプ買収で"通信のリーダー"も狙う MSのスティーブ・バルマーCEOに聞く

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そして、ウィンドウズ向けに開発された最新の技術は、ウィンドウズフォン7の上で展開されるソフトでも共有されていく。たとえばブラウザの「インターネットエクスプローラー(IE)」は、その二つの世界で展開される。IEはほかのどの製品よりも高速であり続けるために、つねに努力をしている。

──追撃体制は整いつつある、と。

これからもモバイル市場において、われわれがやらなければならないことは多い。今、マイクロソフトはそれだけすばらしい競争相手に直面しているということだ。競争相手のうちの1社は、ソフトウエアなどからはまったくおカネを稼いでいない会社(=グーグル)だ。ちなみに、この会社との間で何が起きているかといえば、訴訟だ。アンドロイドを搭載したスマートフォンを販売しているパートナー(=モトローラ)は、マイクロソフトの特許を侵害している。

たくさんの利益を稼いでいる別の競合相手(=アップル)は、ハードウエアデザインもソフトウエアの開発もすべて自社で行っており、われわれのパートナーシップモデルとは異なるビジネスモデルだ。

それぞれが特徴を持っている。そのため、三つの強力な競合勢力がモバイルの分野で活躍する余地は十分にある。パートナーとの連携を強化していくことで、マイクロソフトはこの分野でもリーダーになれる。

われわれには強みが残されている

──“ソフトウエアでおカネを稼いでいない会社”は、6月に「クロームOS」をリリースします。

先ほども言ったとおり、競争はとてもいいことだと思っているし、大歓迎だ。グーグルがパソコン用OSの分野でどのように活躍するのか、見守っていきたい。

しかし、マイクロソフトはウィンドウズこそがベストな体験を提供できるものだと考えている。最もすばらしいインターネット体験を提供できるのはウィンドウズOSだ。なぜかといえば、OSとIEとの統合を進めてきたから。さらに、ハードウエア側の機能を活用することで、グラフィックス表示の高速化を実現している点も強みだ。

問題はネットだけではない。ウィンドウズには、パソコンにインストールするアプリケーションとしてワード、エクセル、パワーポイント、アウトルックがあり、そのほかにも何百万種類ものアプリケーションが展開されている。こうした数々のアプリケーションをインストールできなければ、ビジネスに使うことなど困難だろう。

正直言って、いったいどのようなユーザーがクロームOSを使うのか、私にはよくわからない。いずれにしても競争を歓迎したい。

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