テイラー・スウィフト、ライブ映画空前ヒットの訳 常識破りの手法でライブ映画の最高記録を更新

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まず、この映画には、メジャースタジオや配給会社がまるでかかわっていない。製作したのはスウィフトのツアープロダクション会社で、劇場上映については直接、世界最大のシネコンチェーンAMCと契約を結んでいる。

通常、映画の公開日は早々と発表されるのに対し、この映画について発表されたのは公開のわずか6週間前。それもスウィフトのインスタグラムという、実にカジュアルなやり方だった。

アメリカでは俳優のストライキが始まっていて、俳優がソーシャルメディアで映画の宣伝をすることも禁じられていたが(『バレンタインデー』『キャッツ』『アムステルダム』などハリウッド映画に出たスウィフトも全米映画俳優組合の会員だ)、この映画にはストライキの相手であるスタジオや配信会社がかかわっていないため、何の問題もない。

スタジオや配信会社が絡むなら、彼らはマーケティング予算を組んで広告や宣伝を打つだろうが、スウィフトはそれもしなかった。テレビスポットも一度も打っていない。お金をかけなくても、巨大なファンベースが大いに盛り上げてくれることを彼女は知っているのだ。

テイラー・スウィフト THE ERAS TOUR
ディレクターのサム・レンチと肩を組むテイラー・スウィフト(写真:ロイター/アフロ)

平均より高いチケット販売が好調

また、チケットの値段もスウィフトが決めた。大人は19ドル89セント、子供は13ドル13セント。アメリカは都市や劇場によって映画のチケットの値段が違うが、これは全米平均より上で、田舎に住んでいるファンにとっては高いと感じられるだろう。それでも前売りの売り上げは絶好調で、公開初週末に訪れた観客の6割は、事前にチケットを購入していた。

ツアーのチケットの平均価格は253ドルで、その金額を出す用意があっても入手不可能だったのだから(転売サイトに2枚5500ドルで出ていたとの報道もある)、19ドル89セントで擬似体験ができるのならお手頃だ。

それらのファンがコンサート会場にいるような雰囲気を楽しめるよう、スウィフトは、この映画を木曜から日曜にかけてしか上映しないとも決めている。普段、上映中は静かにしましょうというメッセージを送るAMCも、この映画に関しては、観客が一緒に歌ったり、踊ったり、ファンが声援を送ったりすることを許した。月曜の昼間など、劇場が半分しか埋まっていない時に観に行ってしまったら、そんなライブ感覚を味わえなくなってしまうから、あえて曜日を絞ったのだ。

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