旅行サイト最大手の「入金遅延」、集団訴訟に発展! ブッキングドットコムに旅館オーナー怒りの声

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同社が運営する施設の一部では、予約の9割以上をブッキングドットコムに依存している。9月分の売り上げ600万円が計上されているにもかかわらず、ブッキングドットコムからの入金はない。

松尾氏の頭を悩ませているのが、年金事務所とのやりとりだ。年金事務所に事情を説明しているものの、理解はされず、「支払ってもらえないのであれば、(土地や施設などを)差し押さえる」という旨の連絡があったそうだ。こうした支払い遅延への圧力をストレスに感じ、閉館を決めた宿泊施設もあるという。

「私は賠償金がほしいわけではない。提訴を通じて、ブッキングドットコムがわれわれのような小さな宿泊施設にも支えられていることを知ってほしい」と松尾氏は訴える。

岐阜県や奈良県などで複数の宿泊施設を運営している風屋グループ。一部施設は予約の9割以上をブッキングドットコムに依存しているが、入金が行われていない(写真:風屋グループ)

ブッキングドットコムによる宿泊料金の支払い遅延が始まったのは、今年の6月から。引き金となったのは、アムステルダム(オランダ)の本社で行われた決済システムの更新だ。

会社側の説明によれば、現在ではシステム改修は終了しており、「大半の支払いは再開されたが、予期せぬ技術的な問題のため一部には遅れが生じているのは事実」と認めている。

中小規模の旅館は財務基盤が脆弱

システム改修は終わっているのに、なぜ宿泊料金の入金処理がここまで長引いているのか。その原因として、「海外と日本の銀行間送金でエラー」が発生していることや、「登録している(宿泊施設の)銀行口座の照合に時間がかかる」ことを同社は挙げている。

入金の遅延となると経営難が想起されるが、「財政困難は発生していない」と説明する。実際、ブッキングドットコムを運営するブッキングホールディングスの決算資料を見ると、2023年6月末の現預金は146億ドル(約2兆1900億円)と潤沢で、1~6月の業績も売上高は92億ドル(約1兆3850億円)、純利益は15億ドル(約2300億円)と業績も好調だ。

一方、入金遅延により大きな打撃を受けているのが、ブッキングドットコムからの予約比率が高い国内の零細宿泊施設だ。中小規模の旅館などは大手ホテルと比較すると財務基盤が脆弱で、月々の入金が遅れるだけで資金繰り悪化に直結しかねない。

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