旅行サイト最大手の「入金遅延」、集団訴訟に発展! ブッキングドットコムに旅館オーナー怒りの声

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前出の松尾氏は、「ブッキングドットコムからの支払い遅延によって、従業員への給与や(食品やアメニティなど)仕入れ業者への支払いが遅れている宿泊施設もある」と語る。

現在、松尾氏が最も不満を持っているのは、ブッキングドットコム側の対応だ。入金遅延について松尾氏は、8月以降ブッキングドットコムのサポートセンターに連絡しているが、「財務部に問い合わせる」と返事があったのみだった。

その後、支払いの遅延についてブッキングドットコム側へ内容証明郵便を送付すると、大阪の担当者から「直接会って、事情の説明とお詫びをしたい」と連絡があったという。だがこれも先方の都合によりオンラインへと変更になった。

「支払いの遅延が発生しているのであれば、担当の取締役や社長などが宿泊施設側へ事情の説明と謝罪をするべき」と松尾氏は憤慨する。

ブッキングドットコムに頼らざるを得ない事情

これほどの入金遅延が起きているブッキングドットコムだが、これを機に宿泊施設の離反が起きるかというと、話はそう簡単ではない。「ブッキングドットコムの予約比率は他の海外OTAと比べても高く、集客力も高い」。インバウンドに特化したホテル関係者はこう指摘する。

自社HPからインバウンド集客を募るには、海外でのPR活動などが必要になる。だが、中小宿泊施設にそうした宣伝活動を行う余力や資金はなく、ブッキングドットコムに頼らざるを得ないというのが現状だ。コロナ禍が一巡し、インバウンドの回復が続く中、ブッキングドットコムの存在感はさらに高まっていくことも考えられる。

「われわれのような宿泊施設があってこそ、ブッキングドットコムの競争優位性がある。今回の件を通じてより良い協力関係を築けるようにしたい。それが提訴で得られる一番の利益だと思う」。松尾氏はそう思いを打ち明ける。

ブッキングドットコムはこうした声に耳を傾ける必要がある。

星出 遼平 東洋経済 記者

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ほしで・りょうへい / Ryohei Hoshide

ホテル・航空・旅行代理店など観光業界の記者。日用品・化粧品・ドラッグストア・薬局の取材を経て、現担当に。最近の趣味はマラソンと都内ホテルのレストランを巡ること。

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