日本でも海洋資源開発のエンジニアリング企業の強化・育成を
開発オペレーターが資源開発事業を一括管理コントロールし、多額の収入が入るため、ブラジルプレサルの例のように、政策的に自国企業が担うのが国益上好ましいことは当然である。ただし、メキシコ湾のBPによる原油流出事故のようなリスクにさらされ、実際の経験に裏付けられた開発技術がなければ、いくら制度的に独占させても、メキシコPEMEXの例のように高コスト化して新規の油田開発もできなくなってしまう。
海底油ガス田開発に傾注してきた中国海洋石油総公司(CNOOC)は、これまで中国内でオペレーター実績を積んできており、また、今年4月のブラジル・ルセフ大統領訪中時において、中国石油化工集団公司(SINOPEC)とペトロブラスとの間で、(1)ブラジルほか海外での石油ガス開発の戦略的協力、(2)原油回収技術の共同開発、(3)原油石油製品の輸出、に関する合意文書が調印されている。
日本にEEZの探鉱・開発が実施できるオペレーター企業はなく、今後創業育成していく必要がある。そのためには実際のプロジェクトに実践参加し、場数を踏んでいく過程でノウハウを蓄積強化していくしかない。すでに具体的に開発が進むブラジルのプロジェクトにオペレーション参画して、わが国の産業技術を生かしていくことは、単にブラジルでの個別事業の収益にとどまらず、アフリカ沖のプレサル油田のビジネスチャンスにも及び、ひいてはわが国EEZでの探鉱開発にも活用できるし、世界の海底資源開発をリードしていく道につながる可能性がある。
深海油田開発で日本企業の技術活用を
ペトロブラスは、2020年までに日量500万バレルの生産(現在、日量230万バレル)を見込んでいるが、そのためには多くの技術的なハードルを克服していく必要がある。特に、安全で効率的な深海油田開発のために、新技術導入は不可欠で、その新技術が外国依存のままでは、国内産業振興につながらないという懸念から、ペトロブラスは新技術開発研究のために、その研究所CENPES と外国企業との共同研究の枠組みのフレームワーク(PROCAP)を立ち上げている。