日本でも海洋資源開発のエンジニアリング企業の強化・育成を

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相川武利 ペトロブラス(ブラジル国営石油公社)東京副代表

今回の東日本大震災および福島原発事故で、保管・運搬の容易な石油燃料の有事瞬発力の意義が再認識された。原子力の安全神話が揺らぐ中、太陽光など再生可能エネルギーの技術開発を急ぐとしても、増大する新興国のエネルギー需要を賄うには、有望な海底油ガス田開発の手を止めるわけにはいかない。昨年4月の英BPによるメキシコ湾原油流出事故を教訓にしつつも、今年3月には米国オバマ政権は新たな12件の油田開発承認に踏み切った。

他方、熱水鉱床など火山活動は、海底にも存在し、海底地下に眠る莫大な鉱物資源や原油ガス資源の熾烈な開発競争は始まっている。わが国でも排他的経済水域(EEZ)にコバルト、マンガン鉱、メタンハイドレードなどが莫大に存在することが確認されている。この海底資源開発の分野で先行する欧米、現在実績を重ねている韓国、中国に対して、わが国は、優位にある個別技術の有機的な組み合わせによって対抗することで、新たな産業を創出し、世界の海底資源開発技術をリードする可能性もある。

ところで、今般の震災と原発事故において、わが国のロボットや無人飛行機が、無力であった。個々の研究や技術は優れていても、現実の個々の具体的なニーズや課題に対して、目的的かつ横断的・有機的に集積、応用する仕組みがいかに重要かを思い知らされた。
 
 この点、現在、ブラジルで進行中の海面下5000メートル超の大深海での岩塩層下(プレサル)油田の開発には素材からメカニカルまで克服すべき多くの技術的ハードルがあり、優れた外国の技術を取り込むことで、その解決を図ろうとしている。
 
 日本企業が、そこで直面する諸問題に取り組むことを通じて、設計、材質、機械、ロボット、エネルギー供給、保守管理まで多岐にわたる、実用的な技術開発、蓄積につなげることができるのではなかろうか。また、ブラジルの資源開発を産業振興と連携させる手法は、わが国のEEZ資源開発としても参考となると思われる。

ニュープレーヤーが出現するブラジルの造船産業の現状

今年2月、ペトロブラスは7隻の原油掘削船をブラジルのアトランティコスール造船所(以下「EAS」)に発注することを決めた。総額46億米ドル強である。EASは、2005年、ブラジル東北部ペルナンブーコ州レシフェのスワペ工業団地に、地元ゼネコン企業に韓国三星重工が技術協力して建てられた最新の造船所で、建設中から船舶建造に着手し、昨年5月にブラジルでは実に14年ぶりにスエズマックスタンカー第一船を建造している。三星重工の出資比率は10%である。160ヘクタールの敷地に50万トンの建造ドックを有する。現在、22隻の原油タンカー(スエズマックス14隻とアフラマックス8隻)、7隻のドリルシップおよび1基の生産プラットホームを受注している。EASは、ペトロブラスの原油生産拡大に牽引される造船や石油生産設備の需要に呼応して急成長しており、かつてIHIのブラジル子会社イシブラスが1970年代にブラジル造船をリードした軌跡を想起させる。


■アトランティコスール造船所全景

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