訪日客だけ優遇?ジャパン・レール・パスの問題点 誰もが買える「全国乗り放題券」作ってはどうか

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もともとジャパン・レール・パスが相当に廉価であったので、値上げしたといってもまだ条件的に優遇されており、かつ、円安下のドル換算では割高感もない。正規の運賃や料金を支払って日頃日本の鉄道に乗っている者からすれば、むしろ観光客から多くとれと言いたくなるということもあるだろう。

鉄道利用での不公平禁止は、鉄道事業法第16条第9項第1号で規定されている。

「国土交通大臣は……(中略)……次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、当該鉄道運送事業者に対し、期限を定めてその旅客運賃等又は旅客の料金を変更すべきことを命ずることができる。
一 特定の旅客に対し不当な差別的取扱いをするものであるとき。」

これは運賃や料金で特定の旅客に対して不当な差別的取り扱いをすることを禁ずるというものである。

不当な訪日客優遇なのか

著名な北総鉄道の運賃変更命令申立事件の東京地裁判決でも原告が主張の根拠の1つに使っている(当時は第16条第5項第1号)。同判決では「特定の旅客に対し不当な差別的取扱いをするもの」という趣旨は「当該旅客運賃が合理的かつ正当な理由なく、特定の旅客を個別的に優遇又は冷遇するもの、たとえば、鉄道事業者が旅客の信条や宗教等によって異なる旅客運賃を適用する場合を指すものと解するのが相当」と判断されている。

日本在住の日本人は廉価なジャパン・レール・パスを使えないから、海外からの客を優遇して日本人を不当に差別している、という主張もわからなくはない。が、個々の日本人を差別しているわけではなく、むしろ正規運賃を前提にして海外からの客一般に割安なパスを用意しているに過ぎない。

日本国内のフリーきっぷのようなお得なきっぷでも、発売箇所その他発売要件を用意しているものもあるから、ジャパン・レール・パスが不当に日本人の個々の乗客を差別しているとはさすがにいえないだろう。

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