ワークマン「女子業態」で描く海外進出の青写真 SHEIN方式の短納期生産、ファッションで大勝負

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土屋専務は「アパレルは一般的に、デザインやその場のディスプレイを見て直感的に買うもの。機能性はどちらかというと理性に訴えるもの」と分析する。一般客は「防水機能のこの服は本当に必要か?」と考えた瞬間に買わなくなる。機能は残しつつも、デザイン性を訴求することがカラーズ業態の狙いとなっている。

デザイン性強化に向けて取り入れるのが、「SHEIN方式」によるトレンド商品の短納期生産だ。

SHEINは中国発のファストファッション企業で、欧米のトレンドファッションを小ロット・短納期で生産し、オンラインで安く販売するモデルを強みに急成長が続く。多くは中国・広州に集積している縫製工場で生産され、世界のZ世代(10~20代)を中心にコストパフォーマンスの高い商品で支持を得ている。

「ワークマンカラーズ」では小ロット短納期生産のアイテムをそろえている(記者撮影)

ワークマンカラーズではトレンド商品に短納期生産を利用し、約15アイテムが商品企画から販売まで約1カ月で完了するという。点数もワークマンでは通常、数万単位での発注が多いが、短納期品の発注量は最小で500点から発注が可能だ。

好評だった短納期商品は、ワークマン女子や一部のワークマンプラスなど“作業着を扱わない店舗”で横展開する。こうした一般客向けの業態では、店を訪れるたびに新たなトレンド商品が並んでいるようにすることで、来店頻度の向上を狙う。

「ワークマン女子」の出店数を倍増

作業着を扱わない一般向け業態は、喫緊の課題となっている「職人客の掘り起こし」にも重要な役割を果たす。中でも深刻なのが、駐車スペース不足だ。標準店の駐車場はおよそ10台程度。客層拡大前は、職人客が短時間で買い物を済ませるため回転が速かった。

しかし「一般客の駐車時間は作業客の3~4倍」(土屋専務)で、駐車場が埋まって買い物ができないケースが出てきている。作業着を取り扱う既存店はワーク商品に特化して、近隣にワークマン女子の出店を進めている。

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