ワークマン「女子業態」で描く海外進出の青写真 SHEIN方式の短納期生産、ファッションで大勝負

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一般客と職人客のすみ分けは、店舗運営でも効果を発揮する。ワークマン既存店の平均年商は1店あたり1.7億円(2023年3月期)。土屋専務によれば「お客さんが集中する店で、年商が2億円を超えると店舗が汚くなる」。レジ業務で繁忙となり、商品搬送の段ボールの整理などが間に合わなくなってしまうなどが理由だ。

今年の秋冬から全店に女性用肌着を投入、今後は男性用も展開する。得意の「機能性」で差別化する(記者撮影)

年商が2億円を超える既存店は、現状200店ほどある。近隣にワークマン女子を出店することで客数の平準化を図る。ワークマン女子は年20店のペースで出店しているが、今後は年40店に引き上げる方針。2030年頃までにはワークマン女子・カラーズなどの作業着を扱わない業態で、400店を目標に掲げる。

ワークマン女子を年40出店するためには、商品開発が肝要になってくる。というのも、店舗数が増えれば必然的に小商圏へも出店することになるからだ。採算をとるためには、顧客1人ずつの来店頻度を高める必要がある。

今年の秋冬からは、ワークマン全店で女性用肌着の販売を開始する。今後は男性用肌着も展開する予定で、衣料品の中でも買い替えサイクルが早い肌着でリピート率を引き上げる。5年後に売上高500億円の目標を掲げる。

次の狙いは「東アジア進出」

客層拡大を進めてきたワークマンは、どこへ向かうのか。2024年2月、ワークマンは「イオンモール沖縄ライカム」にワークマン女子を出店する計画だ。売り場面積は220坪と全国最大で、初年度の売上高目標は6.2億円。同店は県内の一般客向け業態のハブとなるだけでなく、ワークマン初となる海外進出を見据えた旗艦店になる。

ワークマンは防寒着など冬物に強みを持つが、温暖な気候の沖縄でワークマン女子の運営オペレーションを確立する狙いがある。その後は沖縄と気候が似ている台湾などを軸に海外進出を目指す。

今年の秋冬から導入したトレンド商品や機能性肌着といった新事業は、海外進出の成否を占う試金石になるといえる。業績の曲がり角を転機に変えて、再び旋風を巻き起こせるのか。ワークマンの進撃は止まらない。

山﨑 理子 東洋経済 記者

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やまざき りこ / Riko Yamazaki

埼玉県出身。大学では中国語を専攻、在学中に国立台湾師範大学に留学。2021年東洋経済新報社に入社し、現在小売り・アパレルを担当。趣味はテレビドラマのロケ地巡りなど。

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