本物らしさ追求、駅構内「電車型売店」の最新事情 コンビニから待合室まで全国に続々と登場

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そのほかの鉄道会社でも電車型コンビニを展開しているところはある。JR東日本管内では藤沢駅や水戸駅に電車型コンビニがある。藤沢駅の電車型売店は3・4番線ホームの辻堂寄りの場所にあり、形は初代湘南電車の代名詞、80系長距離電車をモデルにしている。

みかんの実と葉にちなんだ色と言われているおなじみの湘南色(窓周りが黄かん色、上下が緑2号)で、形状も2枚窓の前面、左右対称の金太郎塗装が配されている。リアルに処理されており、実物大モックアップと言ってもよいだろう。本当によくできている。

売店以外の「電車型」もある

水戸駅の電車型コンビニは7・8番線ホーム、勝田寄りに設置されており、かつて常磐線特急の主役だったE653系「フレッシュひたち」を模した売店となっている。E653系は常磐線で、2013年まで活躍した特急列車だ。現在は一部の団体専用として残るのみで、主に新潟地区での運用を目的に転属してしまった。独特の流線形状、力強さが込み上げるマスク。あたかも本当に、E653系を改造した売店のように見える。

コンビニや売店に限らず、電車型のホーム施設にはさまざまなものがあり、例えば上毛電気鉄道・大胡駅にある、同電鉄の最古車両(デハ101型)をモチーフにしたデザインの待合室や、上越線のSL列車停車駅の一部(沼田駅と渋川駅)では、ホーム待合室が旧型客車をモチーフにしている。

デハ101型をモチーフにしたデザインの上毛電鉄の待合室 (筆者撮影)

外観の「三等」と書かれた赤帯の再現や、室内も木造のボックスシートが備わっていて、そこに座っているだけで、タイムスリップしたかのような感覚が味わえるのが面白い。

室内だけなら、千葉県銚子市にある銚子電気鉄道・笠上黒生駅にある待合室も、室内が旧型客車のように再現されていて、天井の曲線も見事に表現されていた。

銚子電鉄笠上黒生駅の待合室(筆者撮影)

このように、コンビニや売店以外にも、「電車型」と呼ばれる施設は多く存在し、旅をしながらそれらを散策してみるのも、面白いだろう。

渡部 史絵 鉄道ジャーナリスト

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わたなべ・しえ / Shie Watanabe

2006年から活動。月刊誌「鉄道ファン」や「東洋経済オンライン」の連載をはじめ、書籍や新聞・テレビやラジオ等で鉄道の有用性や魅力を発信中。著書は多数あり『鉄道写真 ここで撮ってもいいですか』(オーム社)『鉄道なんでも日本初!』(天夢人)『超! 探求読本 誰も書かなかった東武鉄道』(河出書房新社)『地下鉄の駅はものすごい』(平凡社)『電車の進歩細見』(交通新聞社)『譲渡された鉄道車両』(東京堂出版)ほか。国土交通省・行政や大学、鉄道事業者にて講演活動等も多く行う。

 

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