学校の「金融教育」必修化で前進もいまだ手薄、知識不足や教材選びへの対応策 外部とうまく連携して進めるのも選択肢の1つ

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お金を通じて社会や経済、将来の働き方など、社会で生活するために必要な知識や判断力を身に付ける金融教育。社会経済環境の変化、金融トラブルの多発・低年齢化、諸外国と比較した教育の遅れなどを鑑み、日本では2020年から子どもの金融教育を拡充。2022年4月からは、高校において投資教育が必修化された。キッズ・マネー・ステーションの代表である八木陽子氏は、「親子で一緒にお金と仕事を考える」をテーマに2005年より親子向け、児童生徒向け講座を行い、近年では文部科学省や金融庁などと協働しながら金融教育の普及に努めている。八木氏に、学校教育現場との関わり、日本における金融教育の現在地とこれからについて聞いた。

子ども時代からの「お金教育」の大切さを痛感し、団体を立ち上げ

――「キッズ・マネー・ステーション」を立ち上げた経緯と現況について教えてください。

八木陽子(やぎ・ようこ)
キッズ・マネー・ステーション 代表、ファイナンシャルプランナー
上智大学外国語学部卒業後、編集者を経て2001年ファイナンシャルプランナーの資格を取得。海外でファイナンシャルリテラシー教育を視察した経験を活かし、子ども向けマネー教育の普及に努め、2005年「キッズ・マネー・ステーション」を設立。約300名の講師が所属し、全国の小・中・高等学校にて授業や講演など多数開催中。2017年度から2021年度に使用された文部科学省検定の高等学校家庭科の教科書に、日本のファイナンシャルプランナーとして掲載される。著書に『10歳から知っておきたいお金の心得』、『今から身につける投資の心得』(ともにえほんの杜)『6歳からのお金入門』(ダイヤモンド社)などがある

2001年にファイナンシャルプランナーの資格を取得し活動する中、知人を通じ、オーストラリアでは小学校から金融教育が取り入れられていることを知り、当時5歳だった息子を連れて視察に行きました。

ビクトリア州の小学校でファイナンシャルリテラシーの授業を見せてもらったのですが、低学年から社会科の授業で2週間に1度取り入れられており、先生手作りの紙幣を使ってお金のやりとりを学んだり、教室で架空の購買体験をしたりなど、子どもたちが社会の仕組みを楽しく学ぶ姿に衝撃を受けました。

グローバル化に加え、現金をさわらずとも物が買える電子マネーが普及する中、子どもの頃からお金の扱い方や価値を知り、お金を通して社会や経済に興味を持ち「自立する力」を持った子に育ってほしいと “お金教育”の必要性を痛感。2005年、子どもたちにモノやお金の大切さを教える団体「キッズ・マネー・ステーション」を立ち上げました。子育てサークルやPTAで親子向けマネー講座を行ううちに需要が増え、認定講師の養成も始めました。現在は、全国に約300名在籍する認定講師と共に、幼児から高校生向け講座やイベントの実施、オリジナル教材の企画・制作、金融教育のコンテンツ執筆・監修などの事業を行っています。

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