凶暴化する天災「対策には限界がある」という事実 アメリカの現状が示す「強靱化」の実行不可能性
アメリカでは今年、自然災害による被害額が9月時点で230億ドル(約3兆4000億円)に上っている。この時期としては最悪の数字であり、気候変動への適応にアメリカが苦しんでいる様子が浮き彫りとなっている。
アメリカ海洋大気庁(NOAA)がまとめたリストには、アメリカの山火事としては過去100年以上で最悪の犠牲数となったハワイ・マウイ島での火災や、フロリダ州西部を襲ったカテゴリー3のハリケーン「イダリア」、ピンポン球ほどのひょうを降らせ、2万5000の家庭や企業が停電したミネソタ州の嵐が含まれる。
8月に起こった出来事だけでも、このような具合なのだ。
対策は大規模災害の増加に追いつかない
ある意味では、災害コストの増大は驚くことではない。化石燃料を燃やすことで気温と水温が上昇し、それによって一段と強力なハリケーンや激しい降雨がもたらされ、山火事が広がる速度も増す。
アメリカにおける数十億ドル規模の災害数を追跡しているNOAAのデータ(インフレ調整済み)には、比較的確固とした増加傾向が見られ、1980年に3回だったものが、2020年には22回まで増加した。2020年の回数は記録的なものだったが、今年はすでにそれを上回っている。