名店の味「再現力」で勝負挑む冷凍ラーメンの進化 市場の伸長で商品開発競争が激しさを増している

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常温品であれば空いたスペースに台を置いて特設コーナーを作れますが、冷凍食品の場合はそうはいきません。そのうえ、販売実績があり、定番で売れている従来製品との、限られた冷凍スペースの棚取り合戦も激しいです。スーパーの冷凍食品売り場は昔に比べて拡大しているとはいえ、新商品は苦戦を強いられがちなのです。

ただ、コロナ禍以降の内食需要の高まりに合わせ、手軽さや保存のしやすさなどから冷凍食品のマーケットは好調に推移しています。

この消費動向を受け、冷凍食品コーナーを大きく拡大する店舗や、ドラッグストアなどスーパー以外での取り扱いも増え、冷凍食品の販路も増えてきています。そのため、安定感のある定番品だけではなく、チャレンジングな新商品を並べる店舗も少しずつ増えてきています。

今秋の注目は冷凍ラーメン

今年の下半期の新商品で各社が注力しているのが冷凍ラーメンです。

1つの商品で1食が成り立つものを「一食完結型商品(麺類や主食とおかずがセットになった商品、チャーハンやピザ、お好み焼きなど、それ1つで1食が完結する商品のこと)」といい、冷凍食品の中でも人気のカテゴリーです。この人気を背景に、冷凍ラーメンもその1つとして大きな伸びを見せています。

さらに、ラーメン自体が日本人には人気の料理で、市場にポテンシャルがあったこと。また、冷凍食品は基本的に女性ターゲットの商品が多いのですが、ラーメンは男性需要も見込める期待のコンテンツであることも、各社が力を入れる一因であると筆者は考えます。

もともとラーメン商品の市場には、カップラーメンやインスタントラーメン(袋麺)という、圧倒的に強い存在があります。“保存が利いて安価で嗜好性がある”という強敵がいるため、冷凍ラーメンはそこまで注目はされていませんでした。登場したばかりの頃の冷凍ラーメンは、“麺+スープ”のシンプルなタイプで、クオリティよりもいかに低価格にできるかに重点を置いたものが主流でした。

そこから、冷凍技術を生かした本格的な商品が登場してきました。冷凍ラーメンの最大のポイントは、お店の味にかなり近づけられること。冷凍だからこそ、麺やスープ、具材の再現クオリティを非常に高くすることができ、それが消費者にも認知されてきたのです。

直近ではコロナ禍以降、有名ラーメン店が自分たちで冷凍して売る高級路線の市場も拡がっています。また、自動販売機で発売するケースが各地で増えていたり、調理までしてくれる自販機「Yo-Kai Express」が登場したりと盛り上がりを見せています。

全国有名店のラーメンを手軽に購入できる冷凍自販機サービス「ヌードルツアーズ」。左は筆者(写真:筆者提供)
ラーメンの自動調理自販機の「Yo-Kai Express」(写真:筆者撮影)
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