「希望の力」は、ダイエットにも効果がある 5年後の自分を計画しよう

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シェーン・J・ロペス氏

ロペス氏はもともとIQの研究家だった。高いIQこそが、人を素晴らしい人生に導くと考えていたのだ。だが、心理カウンセラーとして患者と接しているうちに、その考えに疑問を抱くようになった。

きっかけは、ジョンという農夫との出会いだった。腎臓病で自分の農場を続けることができなくなり自殺を考えたジョンだったが、次の収穫という「目標」を持てたことで立ち直り、腎臓の数値まで改善したのだ。この例を目の当たりにしたロペス氏は、どれほどIQが高くても、希望なしには有意義な人生は送れないことに気づいたという。

「希望がある人とない人とでは、大きな差があることが調査で判明しています。環境や条件が同じであれば、希望に満ちた人のほうが学校での成功率が12パーセント、仕事での成果率が14パーセント、幸福度が10パーセント高くなる。希望に満ちた人のほうが、希望度の低い人に比べて、幸せな人生を歩んでいることは言うまでもありません」

「希望のパワー」はダイエットにも有効

希望のパワーはダイエットにも有効だ。あるスポーツクラブで、「目標体重になる自信があるかどうか」を会員に尋ね、1年後に測定したところ、肯定的な意見の人は否定的な人よりも平均10キログラムも体重を落としたという。考え方がポジティブな人ほど、ダイエットの成功率は高かった。また、60~70歳を対象とした追跡調査によれば、希望のない人の死亡率は29パーセントだったのに比べ、希望のある人の死亡率は11パーセントにとどまった。希望のない人ほど、寿命も短かったのだ。

とはいえ、思い描くだけで明るい未来が手に入るわけでない、とロペス氏は語る。

「未来をつかみ取るためにはじっくりと考え、計画することが重要です。希望は高望みや楽観主義とは違います。未来への具体的な投資なのです。目標に向って前進すれば、必ず障害が立ちふさがります。そこでも希望が重要な役目を果たします。希望を抱いていれば次々とアイデアが浮かび、ひとつの道が閉ざされても、別の道を思いつく。それによって、未来をコントロールすることが可能になるのです」

ロペス氏の本には、火災に遭ったビール工場を建て直した起業家や、重度の心臓病を克服した少女、荒廃した小学校を再建した親たちなど、「5年後の自分」を見事に実現させた人々の実例が上げられている。

ゴールデンウィークも終わり、目標を見失い、「5月病」になりがちなこの時期、いかに前向きの未来を思い描き、それを実現させていくか、「希望の心理学」の泰斗の教えに触れるのもいいだろう。

林 暁 文藝春秋 国際局

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はやし あきら

文藝春秋国際局出版部。週刊文春、クレア・トラベラーなど雑誌編集部を経て、現在は書籍の編集に携わる。主な担当書に『ねずみに支配された島』(ウィリアム・ソウルゼンバーグ著)、『ハリウッドと日本をつなぐ』(奈良橋陽子)など。

 

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