ファンケル創業者が引退撤回、大胆戦略へ 利益6割減で挑む賭けは吉か凶か
化粧品・健康食品メーカー大手、ファンケルが賭けに出る。
2015年度の売上高は前年度比15.9%増(900億円)と増収を見込むものの、営業利益は同62.5%減のわずか15億円へと、大幅に落ち込む見通し。広告宣伝費の積極投入が重荷となる。
決算発表翌日の5月12日、同社株価終値は前日比9%下落。出来高は同6.5倍の191.57万株と、「今まで見たことのない水準」(ファンケルIR担当者)になった。事前の市場予測を大きく下回る業績予想に投資家も反応を示した格好だ。
同社は2014年度の決算発表に合わせて、2015~2017年度の中期経営計画も発表した。「戦略的な広告投資を行い、5年間で売上倍増に向けた成長戦略を実施する」とした。
具体的には「2016年度以降は投資を回収し、収益性を向上することで、2017年度連結売上高1250億円、営業利益100億円」が目標。2014年度と比較すると、売上高は1.6倍、営業利益は実に2.5倍という高いハードルになる。
サプリの競争激化が逆風
ファンケルが投資戦略の中心に据えるのが、サプリメントなどを扱う健康食品事業だ。同事業のテコ入れが必要となっている要因は、端的に言って競争激化にある。同社がこの分野に参入した1994年当初は競合企業が少なかったが、現在は食品メーカーなど専業でないプレイヤーも多数参入している。
富士経済の調べによると、2015年のサプリメント売上高ランキングは1位サントリー(シェア35%)、2位DHC(同26%)に次ぎ、3位にファンケル(同12%)と予測されており、このシェアはここ数年変わっていない。
そこで今年度は、中高年の目の健康に効果があるとする「えんきん」や、ダイエット用の「大人のカロリミット」など5商品に対し、集中的に広告投資を行う。
これら重点商品については、今期で55億円の広告宣伝費をつぎ込み、来年度、再来年度と新しく出るものに対しても、同水準の金額を投資する予定だ。決算説明会で池森賢二会長兼CEOは「(これまで手薄だった)地方の広告出稿量を増やしたり、売り場を拡大したりするなどして、広告効果を最大化する」と説明した。
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