東山氏、ジュリー氏、井ノ原氏の心情を表情で分析 「冷静、苦悩、歯がゆさ」三者三様の感情が表出

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ジャニーズ事務所にたてつくと、メディアとしては番組にジャニーズタレントを起用できなくなったり、ジャニーズを去った芸能人としては芸能界で活動しづらくなったりする恐れがあるため、皆、忖度し、ジャニーズの批判はしないと。

これに対し東山氏は、ジャニーズに対する忖度は「必要ない」と答えます。一方、井ノ原氏は、次のように答えます。

「1度(忖度を)なくしますって言っても、急になくなるものじゃないと思うんですよ。 オッケーっておっしゃいましたけど、そういうもんじゃないと思うんですよ。…中略…それを正さなきゃいけないと思ってて、だから毎日やっているんです」と、ときに眉を引き上げながら、自身の発言を強調し、ときに顔をゆがめながら歯がゆさを訴えます。表情が大きく動いていることから、強い感情が込められている様子がわかります。

井ノ原快彦 ジャニーズ
ときおり顔をゆがめながら発言する井ノ原快彦氏(撮影:東洋経済オンライン編集部)

井ノ原氏にはまだ訴えたいことが…

また、ジャニー氏の性加害の認識について質問され、「その時(井ノ原氏が事務所に入所した小学6年時)すでにそういった本が出ていまして、周りもみんな、仲間たちも『そうなのかな』というような噂は、まあしてましたね。『そうなったらどうしよう』という話もしてました」と答えながら、時折、口周りに力を込め、当時の感情が蘇らせながら回答している様子がうかがえます。

その他の質問についても、マニピュレーターが見られ、井ノ原氏には、まだまだ語りたい、訴えたいことがあるように見受けられました。

今会見で、まだまだ具体的なことは示されていませんが、少なくとも、事実認定、謝罪、救済の3点が認められたことは被害者の方にとって評価できることかもしれません。東山氏の「これからの僕たちを見てください」という言葉に期待しつつ、分析を終えます。

清水 建二 株式会社空気を読むを科学する研究所代表取締役

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しみず けんじ / kenji shimizu

1982年、東京生まれ。防衛省研修講師。特定非営利活動法人日本交渉協会特別顧問。日本顔学会会員。早稲田大学政治経済学部卒業後、東京大学大学院でメディア論やコミュニケーション論を学ぶ。学際情報学修士。日本国内にいる数少ない認定FACS(Facial Action Coding System:顔面動作符号化システム)コーダーの一人。微表情読解に関する各種資格も保持している。著書に『ビジネスに効く 表情のつくり方』イースト・プレス、『「顔」と「しぐさ」で相手を見抜く』フォレスト出版、『0.2秒のホンネ 微表情を見抜く技術』飛鳥新社がある。

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