「しんどいのに平気なふり」"笑顔うつ"の怖い実態 笑顔の仮面をかぶって生活…我慢強い人は注意

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通常、笑顔はポジティブな感情が湧いたときに自然に表れるものです。しかし、意図的に笑顔を作ることでも、脳内神経伝達物質であるドーパミンやセロトニンが分泌され、ポジティブな感情が生まれます。無理にでも笑顔を作り、元気そうにふるまうことで、神経伝達物質が分泌され、一時的に抑うつ感や不安が軽減されるのでしょう。

しかし、これが「限界に気づかず我慢する」「限界が見えずにがんばりすぎる」ことにつながっているのです。とくに、我慢強い人は笑顔うつになっているのがわかりづらいです。

診察していると、笑顔うつの状態の人がたくさんいます。「もっと早く、診察に来てくれればよかったのに……」と言いたくなるほど、症状が悪化した人も少なくありません。

「笑顔うつ」の状態は、わかりやすくいうと、うつ病や適応障害の軽症か中等症にあたります。

まず、うつ病は脳内でセロトニンやドーパミン、ノルアドレナリンなどの神経伝達物質の分泌が乱れる病気です。

神経伝達物質の分泌が乱れる原因は、性格傾向をはじめストレスや環境要因などさまざまです。うつ病を発症する原因を1つに特定するのは難しく、うつ病は「さまざまな要因が複合的に絡み合って発症する」という理解が正しくなります。

一方、適応障害は、外的なストレスや変化、出来事に対してうまく対応する力が一時的に低下していたり、本人のキャパシティー以上の外的ストレスがかかったときに、日常生活や社会機能に支障をきたす病気です。

はっきりと言えるのは、笑顔うつになるのは、本人が甘えているわけでも、怠けているわけでもない、ということです。気合や根性で、神経伝達物質の分泌を促すことはできませんし、環境や状況が変わらなければストレス因がなくなることはないからです。

笑顔うつになると迷いこむ「4つの世界」

笑顔うつはあらゆる不調が心と体に現れますが、現れ方も原因も人によってさまざま。たいていは、次の4つの世界のどこかに迷いこんでしまいます。

① 体調不良が目立つ「歩くと体調が悪くなる道」
② 落ちこみや不安が強い「希望が見えなくなる森」
③ 感情をコントロールできない「戦わずにはいられない戦地」
④ 思い通りに動けない「心と体が離れていく街」

次から紹介する状態のなかに、2週間以上続いている状態があれば、チェックを入れてください。当てはまるものが多いのが、いまのあなたの迷いこんでいる世界です(次の図は、それぞれの状態を、わかりやすいように「体調」と「感情・行動」の2つの軸で表しています。

(出所)『精神科医が教える 笑顔うつから抜け出す方法』
★体調不良が目立つ「歩くと体調が悪くなる道」
□体調不良が続いて「苦痛」を感じる
□内科にかかっても原因不明な体調不良がある
□仕事や家事に支障がでている

この世界にいる人は、さまざまな身体症状に悩まされるのが特徴です。

身体的症状に悩まされるのが特徴とはいえ、落ちこみや不安などの精神症状がないわけではなく、「自覚していない」というのが正しい言い方になります。

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