ポピュリズム政策を本格化させてきたイタリアのメローニ政権。欧州に金融不安の種をまくことになりそうだ。
イタリアのジョルジャ・メローニ首相を首班とする右派連立政権が、いよいよ「本領」を発揮してきた。同政権は8月7日、金融機関の純金利収入(金利収入-金利支出)に対して、40%の超過利潤税を課すと閣議決定した。欧州中銀(ECB)による金融引き締めで金利が上昇し、銀行の利益が急増したことが課税の主な理由だ。
英独はエネルギー企業に「棚ぼた税」を課したが…
これは一種の「棚ぼた税(windfall tax)」である。市場環境の激変で想定外の収益を上げた企業に対して科されるもので、それで得た原資を基に、同じく市場環境の激変で損害を被った家計に支援がなされる。例えば、2022年に欧州でエネルギー価格が高騰した際、英国やドイツの政府は、エネルギー企業に対して「棚ぼた税」を課した。
同様の理屈で、メローニ政権は、銀行に対して棚ぼた税を課し、それを基に減税措置の財源や、住宅を初めて購入する人を対象とした住宅ローン支援などに充てる計画を発表したわけだ。投資家にとってまさに「寝耳に水」となり、翌日の欧州の株式市場では、イタリアの金融株が急落したことを筆頭に、各国の金融株が連れ安となった。
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