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「脆い南欧」は今や昔、スペイン経済好調のなぜ 先鋭的な脱炭素・脱原発路線に修正の動きも

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かつては「欧州経済のお荷物」とも言われた南欧。今やドイツ、英国などを向こうに回し、好調を謳歌するスペイン経済に何が起きているのか。

7月23日に行われた下院総選挙では、野党の国民党(PP)が勝利。サンチェス政権はエネルギー政策の見直しを迫られている(写真:Bloomberg)

欧州経済はスタグフレーション(インフレと景気停滞の同時進行)の渦中にあるが、欧州連合(EU)第4位の経済大国であるスペインでは、例外的に底堅い景気回復が続いている。スペインの2023年4〜6月期の実質GDP(国内総生産)は前期比0.4%増と、1〜3月期(0.5%増)からわずかに低下したが、5四半期連続で0.4%増以上の成長率を記録した。

観光業がスペイン経済を牽引

スペインの底堅い景気回復を牽引している産業は観光業だ。スペイン国立統計局によると、2023年の上半期(1〜6月期)に旅行目的でスペインに入国した人の数は3750万人と、前年同期比で23.7%増加した。コロナショック前の2019年の上半期が3812万人だったため、スペインを訪問する旅行者数はコロナ前の水準をほぼ回復したことになる。

旅行者の大半は、欧州域内からの観光客である。ドイツやフランスのみならず、伝統的にスペインでバカンスを過ごすことが多い英国からの旅行者の数も、顕著に回復した。歴史的な高インフレで欧州の人々の生活は苦しさを増しているが、それでもコロナ後の解放感が勝っているのか、スペイン旅行熱は高いようだ。

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