低線量被曝を防ぐための具体策を、低線量でもリスクがないと言い切れない--福島大学の教員らが国、県に提言

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提言では、放射線に関するリスクについて、(1)ある量以下の被曝はまったく無害とする立場、(2)被曝量が下がればリスクは減るものの、どんな低線量でもリスクはゼロではないとする立場、(3)低線量だからと言って、必ずしもリスクは小さくならないとする立場の3つに分類。

福島県のように、事実上(1)の立場のみを強調する態度は科学的ではない、と提言で指摘している。

また、3つの立場のうち、(1)が多数の意見ではなく、まずは予防するという立場から考えればリスクはゼロではないとの立場を取るべきではないかと主張する。

提言を行った石田氏は、「この提言は県民一人一人に向けたものでもあり、今の状況についてどうすべきか、悩むことが大事だということを伝えたい」と打ち明ける。

3つの立場と向き合うということは、確率論では片付けられない「真の不確実性」と向き合うということであり、そのストレスから逃れようと人間はしがち。

そうなると、「原発がもたらすコストについて安易に考え、従来のように原発を安易に受け入れてしまうことになりかねない。現状をよく考えるきっかけになればよい」(石田氏)。

特に、放射線がもたらすリスクについては、福島第一原発周辺に関心が集中しているが、福島市や郡山市でも通常よりかなり高い放射線量が記録されている。

「避難地域でもなく、深刻な状態であるのは両市ともに変わりがない。低線量被曝のリスクがないとは断定できないのに、モルモット状態になっているのが実情」と石田氏は言う。

県民の安全を優先して考えられるような態勢は、今の福島県からはまだ見えていないのが実情だ。

■福島中通りでも高い放射線量


出所:文部科学省

福田 恵介 東洋経済 解説部コラムニスト

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ふくだ けいすけ / Keisuke Fukuda

1968年長崎県生まれ。神戸市外国語大学外国語学部ロシア学科卒。毎日新聞記者を経て、1992年東洋経済新報社入社。1999年から1年間、韓国・延世大学留学。著書に『図解 金正日と北朝鮮問題』(東洋経済新報社)、訳書に『朝鮮半島のいちばん長い日』『サムスン電子』『サムスンCEO』『李健煕(イ・ゴンヒ)―サムスンの孤独な帝王』『アン・チョルス 経営の原則』(すべて、東洋経済新報社)など。

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