「村上春樹になりたい」…AIで一体どれだけ叶うか クリエイターは淘汰されてしまうのか、それとも?
文章生成AIに関しては、BtoB(法人)関連のサービスもいくつか登場しています。企業の法務担当者などが法律を元に作成する各種契約書を、生成AIがサポートするサービスなどです。
2017年、大手法律事務所出身の弁護士2名によって創業された、「LegalOn Technologies」という、リーガルテックベンチャーが手がけています。
これまでも、同社は契約審査を行うAIサービスや、同じくAIによる契約書の管理システムを開発していました。そして2023年の5月から、ChatGPTを使った契約書類の修正支援サービスを始めました。
同社のサービスはAIに入力する指示を調整する、プロンプトエンジニアリングと同じく注目されているサービスとも言えます。
単にChatGPTに契約書類を確認させるのではなく、正しい契約書類、つまり独自に生成もしくは保有しているデータを、一般的なChatGPTが学習で使う外部のオープンデータとは別に、学習させているからです。
つまり、公開されていない独自データによりChatGPTをチューンナップすることで、契約文書の修正に特化したサービスに仕立て上げたのです。同サービスを利用することで、契約書修正に要していた時間の2~3割を削減できるそうです。
このように、1つひとつの文字や文章に価値があるデータを持っている組織などは、同様のサービスを展開していく可能性は十分にあり得るでしょう。たとえば、何らかの学会の議事録といった領域などです。
映画産業も、監督や俳優不在で成り立ってしまう?
映画業界はこれまで、アナログ的な業務や要素が多いという特徴がありました。
しかしこれからは、生成AIのような各種デジタルツールやサービスが導入されていくことで、より良い作品が短期間で制作できるように、変わっていくことでしょう。
たとえばNetflix。これまで制作したオリジナルストリーミング動画を大量に保有していますから、これらのビッグデータを生成AIに学習させることで、他社では真似できない、公開データだけでは到底制作できないような、Netflixらしい、独自の生成AIによる作品を制作していくと考えられるからです。
Amazon Prime Videoも同様です。
個人的にはこの2社が今後、生成AIによりどのような動画コンテンツを制作していくのか、注目しています。
特に、ストリーミングの場合は100本の作品を作り、そのうち1本がヒットすればいいとの考えでビジネスを進めることができますから、少しずつテイストを変えた作品を100本、生成AIにより制作する。このような戦略が描けるからです。
TikTokで流行した動画を生成AIに学習させ、さらにバズるような動画を生成する。
このような動きも考えられます。
特にTikTokは、面白ければよいという傾向が強い一面がありますから、流行した動画は個人ではなく、生成AIが作成したものが使われやすい状況にあり、よりクリエイターが集まって、さらなる人気動画が出る可能性が高まる、というポジティブフィードバックサイクルは十分あり得るでしょう。
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