日経平均株価に強気になってよいこれだけの理由 ついに「名目GDP600兆円」が視界に入ってきた

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しかしながら、バブル崩壊とその後の低成長で名目GDPが停滞した1990年後半から2010年代前半にかけて株価は水準を切り下げ、日経平均は4万円近い水準から1万円割れまで沈んだ。

実は、この間に実質GDP成長率は何とかプラス圏を維持したが、株価は上昇しなかった。このことはデフレ的状況の中で名目GDPが増えないと、株価は長期停滞を強いられるという、一つの実証データになった。こうして考えると、名目GDPが拡大基調にある中、日経平均が3万円の大台を回復したことに合点がいく。

また、株価を考えるうえでは、名目GDP成長率のみならず、金利を加味することも重要だろう。そこで名目GDP成長率と長期金利に注目すると、現在その差は拡大基調にある。冒頭で示した通り、日本の4~6月期名目GDP成長率は前年比プラス5.4%(実質成長率プラス2.0%、GDPデフレータープラス3.4%)であるのに対して、10年金利は0%台半ばである。

通常、名目長期金利は「期待実質成長率(≒潜在成長率)プラス予想インフレ率」で決まるため、おのずと名目GDPに近い数値となるが、現在のように中央銀行が緩和的な金融政策を講じる下では長期金利が抑制される。そうした下で金融緩和が奏功し、成長率が加速すると「名目GDP成長率>金利」という構図になることが多い。

緩和的な金融環境と名目GDP拡大が株価を牽引

この状態はマクロ的に見た場合、調達コスト以上の成長機会が至る所に転がっていることを意味する。もしその状態が長く続く、あるいはそう確信するなら、企業は借り入れを増やし投資を拡大し、同時に投資家は株式の購入を進めるのが最適解になる。過剰投資がマクロレベルで発生した平成バブルをこうした文脈で説明することも可能だろう。

では先行きはどうであろうか。日銀が明確な金融引き締めに転じない限り「名目GDP成長率>長期金利」の構図が続くと判断される。向こう数四半期のGDPは海外経済の減速に伴う下押し圧力を受けるものの、資源価格が安定するもとで、国内の人手不足による構造的な賃金上昇圧力を背景にGDPデフレーターは上昇しやすい状態が続くと見込まれ、結果的に名目GDPは(実質GDPを上回る)拡大を続けると見込まれる。

「名目GDP成長率>長期金利」の状態が長く続くほど、企業は積極的な実物投資を敢行し、同時に投資家はリスク性資産への比重を高める。こうした緩和的な金融環境と名目GDPの拡大が続く以上、中長期的な目線で株価に弱気になる必要性は乏しい。

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

藤代 宏一 第一生命経済研究所 主席エコノミスト

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ふじしろ こういち / Koichi Fujishiro

2005年第一生命保険入社。2010年内閣府経済財政分析担当へ出向し、2年間『経済財政白書』の執筆や、月例経済報告の作成を担当。その後、第一生命保険より転籍。2018年参議院予算委員会調査室客員調査員を兼務。2015年4月主任エコノミスト、2023年4月から現職。早稲田大学大学院経営管理研究科修了(MBA、ファイナンス専修)、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)。担当は金融市場全般。

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