ウクライナ侵攻で浮かび上がった「GDP神話の噓」 経済制裁で苦しむのは「消費重視」の西側世界

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もはやGDPでは本当の「国力」は測れないという(写真:metamorworks/PIXTA)
民主主義とは何なのか? そこに限界はあるのか? 台頭するポピュリズム、強権主義に対して、民主主義は生き残っていくことができるのか? 現在の民主主義社会が抱える問題点に次々と疑問を投げかける、元外務省主任分析官の佐藤優氏は、一般的な経済指標として使用されているGDPの存在にも疑問を呈します。
佐藤氏が指摘するGDPの問題とは、いったいどういったものなのでしょうか。
※本稿は、佐藤氏の著書『佐藤優の特別講義 民主主義の危機』から、一部を抜粋・編集してお届けします。

GDPは本当に「国力」を表しているのか?

2007年に世界銀行が発表した報告書『東アジアのルネッサンス』の中で、「中所得国の罠」という言葉が使われました。この言葉には、ある程度民主主義が発展しないと、個人の所得は1万ドルの壁を超えることができない、という意味があります。

一見、なるほどと思わせますが、この説はGDP神話というものを前提としており、ほとんど意味のないものであると私は思います。なぜなら、ウクライナ紛争によって、GDPが圧倒的に多いアメリカが、ロシアを屈服させることができないという現状があるからです。

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