大泉洋が感銘受けた、91歳山田洋次監督のプロ魂 映画『こんにちは、母さん』で演じて感じたこと
「でもいちばんは、やっぱりあれかな。自分の思いどおりにいちばんならないのは」と大泉は、何かを思い出したかのように語りだした。
「やはり父親としての自分ですかね。 家庭の中は、いちばん思いどおりにならないですね(笑)。今は昔みたいに父親がいちばん偉い家庭なんてないじゃないですか。家庭の中ではいろんなことを我慢してんじゃないかな(笑)。仕事場ではいろいろ気を遣って貰える分、家では思いどおりにならないくらいが良いバランスなのかもしれませんね」と微笑んだ。
普段の家族でのエピソードにふれながら、大泉は今回取り組んだ映画での役柄に深く共感したことを語り出した。
体感した山田洋次監督のプロフェッショナリズム
2022年の秋、大泉は新たな挑戦をすることになった。それが、山田洋次監督の90本目の監督作『こんにちは、母さん』。悩みが多い現代社会での家族や親子の関係、そして彼らの深い感情を描き出している作品だ。
大泉にとって、映画の舞台である東京の下町は、ただの撮影地ではなかった。大泉が子どもの頃、ものまねをするほど心を奪われていた映画『男はつらいよ』のセットと瓜二つ。
「初めてセットに入った瞬間、『寅さんだ!』と。完璧に再現されていることに息を呑みました。その感動は僕だけ感じたものではなかったようで、そこにいたスタッフさんなどみんなが、下町のノスタルジックな雰囲気に引き込まれていました。初めての体験で、その感動は格別でした」
大泉にとっては、初めての山田組参加という大仕事。しかし、片思い的ではあったが、山田洋次監督作品にオマージュを捧げるようなドラマを作っていた。
「昔、北海道でのレギュラー番組で自分たちでドラマ制作をする企画があって、当時は東京で俳優をやっている未来なんか思い描いてなくてね。その中で『山田家の人々』という自らの半生を基につづったホームドラマを作っていたんです」
山田監督作品に強く憧れた過去を持ちながら、初参加した山田組の現場。監督は91歳になっても、90本目の映画を作る中で、「不安や迷いがある」と話していたという。どれだけたくさんの映画を撮っても、その感情は変わらない。つねに最善を尽くそうとする山田監督の姿勢に大泉は深く感銘を受けたという。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら