大泉洋が感銘受けた、91歳山田洋次監督のプロ魂 映画『こんにちは、母さん』で演じて感じたこと

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大泉は今作の見所のひとつとして、吉永小百合さん演じる恋する母・福江の姿を挙げる。

「好きな人ができた母親の姿にハラハラする場面もあれば、最後は親子が前に進んでいこうとする姿に勇気づけられるようなところもあって……」

大泉にとっても吉永小百合は、芸能の世界で活動する一人として、ある意味、神話のような存在だったという。

©2023『こんにちは、母さん』製作委員会

ところが、撮影が進む中でその気持ちは変化した。彼女の母親としての存在感、母親らしさに触れる度に、本当の母親にしか思えなくなっていったという。これこそが大女優の凄味なのだと大泉は驚いたという。

1972年に公開された『男はつらいよ 柴又慕情』をはじめ、約50年間に渡って数々の山田洋次監督作品に出演し、日本映画界を共に牽引し続けてきた吉永小百合の魅力について、大泉はこう表現する。

「吉永さんの役者としての素晴らしさのひとつは、彼女が持つキャラクターを魅力的に演じきる力です。母親でありながら、恋に落ちる女性の役を、完璧に演じきっていたことに感銘を受けました。そして、その役をとても可愛らしく、キュートなキャラクターとしてまとめ上げる力には、大女優・吉永小百合であることを再認識させられました。とくに仕上がった作品全体を通して見たとき、改めてそれを思い知らされましたね」

大泉が感じる、世代をつなぐ責任と継承の価値

時は流れ、世代が交代する中で、過去の経験を未来につなぐ役目は誰にでも訪れる。大泉もまた、その重要な時を迎えていることを、今作を通じて実感していたようだ。

「50歳という節目に立ち、われわれの世代が見上げた偉大な先輩たち、山田監督や吉永小百合さんのような存在。お二人の背中には力があり、尊敬と学びを感じる。しかし、自分にはそのような背中を若い世代に見せる自信がない。目の前のことで精一杯です。ただ、……。若い人たちのためになることをしていかなきゃいけない年齢だし、“してあげたいな”っていう思いは芽生えています。 そういった意味では、山田監督とずっと昔から付き合っているスタッフの方に話を聞くと、『昔はこんなに若い人と話すことはなかった。もっと現場で気難しかった』っていうんですよ。

でも、今の山田監督は、自分の経験だったりをどんどん若い人たちに伝えていかなきゃいけないって思いがある。例えば現場にも、さまざまな人が見学に来るんです。僕ら役者にしてみたら、ちょっとやりにくい時もあるけれど、山田監督が若い世代に伝えていきたいことがあるんでしょうね。そういうところは僕もやっていかなきゃいけない年齢になってきてるとは思いますよね」

自身の経験を伝え、次の世代にバトンを渡すこと。世代をつなぐ大切な役割を、大泉洋はその背中でこれからますます見せてくれるのかもしれない。

(撮影:長田慶)
池田 鉄平 ライター・編集者

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いけだ てっぺい / Teppei Ikeda

Jリーグ、国内、外資系のスポーツメーカー勤務を経て、ウェブメディアを中心に活動。音楽一家で育ち、アーティストとしてインディーズでアルバムリリースも経験。スポーツ、音楽、エンタメを中心に取材活動を行っている。

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