未完成なのに大反響「自動焦点アイウェア」の正体 HOYA発ベンチャーが「視覚で悩む人」向けに開発

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より多くのユーザーをターゲットにすることが、視覚障害に悩む人たちを救うことにつながる。発想の切り替えの裏には、そんな思いもあった。

「実は世界的に近視になる人がものすごい勢いで増えています。スマートフォンの普及、寿命が伸びたことによる老齢化が原因といわれています。そして多くの視覚障害のスタートは"近視"なんです。言い換えれば、近視を防ぐことによって視覚障害を持つ人を減らすことになる。視覚障害を患う人を助ける、そうなることを防止する、病気そのものを減らすデバイスを作ることが理想です」(浅田氏)

念のため申し添えておくと、浅田氏はViXion01が将来的に"視覚障害の予防効果を持つデバイス"になると言っているわけではない。しかし、そうした可能性も見据えたうえで製品を見返すと、別の側面が見えてこないだろうか。

事業化への道には多くの困難も

この製品を試して最初に筆者が体感したのは、「眼精疲労」の軽減である。人間の眼は、水晶体の厚みを毛様筋という筋肉で変えることで焦点位置を調整している。近くばかりを見続けるには、毛様筋を緊張させ続けなければならない。

ViXion01は、毛様筋が最も緊張しない50センチほど前にある被写体に対し、左右の目それぞれでピント合わせを行い、その位置をロックする機能を備えている。一度ピントを合わせれば、デバイスの前面中央に埋め込まれたセンサーが計測した被写体との距離に応じて、レンズの視度を変化させてピントを自動的に合わせてくれる。

つまりユーザーはつねに緊張しない状態で、対象物をシャープな像で見続けることができるため、原理的に眼の疲れが起きにくい。これは、近視を患う要因の1つと考えられる「長時間、近くを見続ける行為」から解放されることにつながる。実用的な機能に加えて、こうした課題解決の可能性に対する期待が、クラウドファンディングで広い支持を集めた背景にあるようだ。

このように書くと、ならば将来に向けてもっと大きな資金を集められるのではないかと思うかもしれない。しかし現実には事業化への道は遠い。より多くの人が日常使いできる"まるで眼鏡"のようなデバイスになるには、まだ多くの困難を乗り越える必要があるからだ。

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