愛知県岡崎市オムライスをバズらせた店主の手腕 カゴメ「オムライススタジアム2023」グランプリ

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オムライスについて学び、作り続けているうちに、オムライスの画力の強さでもっと集客できるのではないかと考えた。2020年6月から「オムライスのプロ」と名乗ってTikTokやインスタ、YouTubeなどのSNSに動画を投稿しはじめた。すると、その目論見どおり動画はバズり、フォロワーがどんどん増えていった。

8月28日現在はTikTokが420万、インスタ22万4000(店のアカウント含む)、YouTube25万9000、LINE5万、スレッズ3万、Twitter(現X)1万9000で総フォロワー数は計478万2000にものぼるというから、神谷さんは料理人であると同時にインフルエンサーでもある。

「とろ〜り卵のオムライス さん太」の店主、神谷敢太さん(筆者撮影)

動画に数多く登場するのは、店の名物である「ぱっかーんオムライス」。ケチャップライスの上にのる大きなオムレツにナイフを入れるアレだ。「カゴメ オムライススタジアム 2023」では、ケチャップライスとオムレツの間にビーフハンバーグをサンドした「ビーフバーグオムライス」で勝負を挑み、グランプリに輝いたのである。

「オムレツには卵3個を使っています。ナイフを入れると、自然に開くように火加減やタイミング、スピードなどを考慮して仕上げています。これが意外と難しいんですよ」(神谷さん)

1カ月以上待っても食べたい“飲めるオムライス”

話を聞いているうちに是非ともグランプリに輝いたオムライスを食べてみたくなった。そこで「ビーフバーグオムライス」を作っていただくことに。

ケチャップライスに使用するケチャップは自家製。市販のものは甘みが強いため、トマトをペースト状にして作っているという。トマトそのものの自然な甘みを生かした味わいは、最後まで飽きがくることなく美味しく食べられる。

あっという間に完成して、目の前でナイフを入れてもらうことに。オムレツにスッとナイフを走らせると、ふわっと開いてハンバーグとケチャップライスを覆い隠す。

スタッフが客の目の前でオムレツにナイフを入れてくれる(筆者撮影)

この様を目の当たりにすると、つい、スマホのカメラを向けたくなる。それは筆者だけではなく、大半の客が撮影するという。それがSNSで拡散されて、また集客につながるのだ。

「では、最後にソースをかけます。ウチのオムライスは“飲めるオムライス”ですから、たっぷりとかかっているのが特徴です」(神谷さん)

トロトロの卵が開いたら、その上からたっぷりのソースをかける(筆者撮影)

ソースはトマトと牛肉をじっくりと煮込んだトマトデミソース。“飲めるオムライス”という意味が今ひとつわからなかったが、食べてみて納得した。サラッと口当たりの軽いソースをたっぷりとかけることで、トロトロの卵とハンバーグ、ケチャップライスの味が1つにまとまるのである。しかも、ソースの量が多いのでリゾットに近い形になる。それが“飲めるオムライス”である。

次ページ単価を上げることができ、売り上げも大幅に増えた
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