培養肉のディープテックがSFを後押しするワケ インテグリカルチャーは新たな食文化を作る

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井上:何通りか考えておられるのでしょうか。

羽生:安直に考えると、超巨大企業が独占して他をすべて蹴散らしていくようなモデルがあります。ただ、それだとディストピアにしかならない。

僕たちのミッションは、みんなが使える細胞農業、つまり、食文化をいろんな人がつくれるようになるという世界です。コミックマーケットみたいな感じで、もういろんな食文化がワラワラ出てきて、「なんじゃこりゃ」というものも含めて文化とともに広まっていく。

それを実現するビジネスモデルは何か。これを出口のほうに置いて、そのうえで入り口のほうでは具体的に何ができるのかを検討して、いくつか準備しています。

井上:そのロードマップをお聞かせいただけますか。

化粧品用の幹細胞を売る

羽生:まず、一番最初の段階は、作ったものを自分で売るというビジネスモデルです。

ただし、消費者ブランドまで作ろうとすると「百貨店でどのような売り場を作るのか」という話になってしまう。だから法人向けに販売することにしました。

必ずしも食品である必要はないんです。まず、培養した細胞の培養上清液をB to Bで化粧品会社に原材料として販売しました。

井上:なるほど、化粧品はアンチエイジングの成分でバズったりしますよね。

羽生:独自開発した化粧品原料「セラメント」に関しては「巻き戻し美容」と言っているのですが、卵(鶏卵)の中の雛が生まれる前の細胞を使っているんですね。

この細胞をかけると、かけられた皮膚の細胞の遺伝子発現のパターンが成人のものから赤ちゃんのものに近づいたんですよ。

井上:それは消費者にウケそうです。

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