ホンダ、懸案の4輪事業が急改善でも残る不安 柱の中国事業が販売急減で灯る「黄色信号」
中国では外資系(非中国系)の完成車メーカーは中国資本との合弁で事業を営むのが原則であるため、ホンダも中国での業務は持ち分法適用となる。今期は他地域が好調なため業績全体への影響は限定的ではある。が、ホンダの自動車販売における中国のシェアは約3割と日系メーカーで比較的高く、今後のリスクであることには違いない。
中国での販売低迷の影響を受ける系列部品メーカーの幹部らからは「値下げしないと売れない状況。その分、われわれの利益も減ってしまっている」「夏以降、ホンダが提示した中国の生産計画は急激に下振れしている。業績的にも厳しいものになる」とため息が聞こえてくる。
ホンダは中国での今期の販売台数目標である140万台(前期比12.9%増)を据え置いた。ただ、藤村CFOは中国市場の不振を認識しているとし、「他地域への部品アロケーションを行い、台数も(中国を除いた)グローバルでなんとかカバーしていくことが今後の9カ月のオペレーションのポイントとなる」と説明。「もし現在の140万台が厳しいとなると、(生産)能力、固定費がどうあるべきか考えていかなければいけない」と生産能力の縮小も含めた対応策が必要になるとの考えを示した。
中国での生産能力拡大が重石になる懸念
ホンダは2027年までに中国でのEV専用ブランド「e:N」シリーズを10車種投入する計画だ。2024年にはEV専用工場(年産12万台)を現地合弁会社である広汽ホンダ、東風ホンダのそれぞれで建設する方針で、実現すれば中国での生産能力は年産173万台まで拡大する。競争力のあるEVを投入できず販売台数を伸ばせなければ、こうした大型投資が重くのしかかることになる。
幅広い地域で販売台数を積み上げるトヨタ自動車と異なり、ホンダはこれまで北米と中国という2本柱を基本戦略としてきた。それだけに中国市場の浮沈は4輪事業の将来を大きく左右する。
中国ではエンターテインメントなどソフトウェア分野を充実させたEVが人気を博している。ホンダも自動運転やソフトウェアといった先進領域で幅広く提携関係を結んでいるが、まだその成果は見えてきていない。単にEVを売るだけでなく、今後は具体的な商品価値を示していくことが求められる。
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