ホンダ、懸案の4輪事業が急改善でも残る不安 柱の中国事業が販売急減で灯る「黄色信号」

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創業者である本田宗一郎氏の時代に発足し“聖域”とされた本田技術研究所についても、4輪開発機能を本社組織である4輪事業本部に集約。商品企画や開発、生産の各機能をまとめて、一体的に運用する体制を整えた。

新たな設計手法「ホンダアーキテクチャー」の効果もようやく目に見えてきた。車種を超えて主要な部品の共通化を図り、コストダウンや設計・開発の効率化につなげる設計手法で、ここ数年投入してきた新型車に採用が進んでいた。

主力市場の北米で「アコード」や「シビック」「CRV」「パイロット」といった主力車種の改良モデルを投入したことで販売台数が伸長。商品価格の引き上げを実施したことも奏功して事業採算が飛躍的に改善した。

川口正雄経理財務統括部長は「アーキテクチャーの効果も含めて収益力がしっかりしたモデルが出そろったところに、北米で12万5000台の増加があった」と説明する。

今期の好業績の陰で忍び寄るリスク

今期に限っていえば営業利益1兆円(28%増)の通期計画は過達となる可能性が高いものの、この先は原材料費や労務費の高騰、インフレによるサプライヤーの部品価格の引き上げなど複数のコストアップ要因がある。北米では納期の正常化に伴い在庫の逼迫感が解消に向かっており、今後は新車ディーラーの値引きの原資となる販売奨励金(インセンティブ)の増加も見込まれる。

2024年にはホンダの高級ブランド・アキュラから「ZDX」など新型EVも投入される予定で、電池の調達コストが重く収益性の厳しいとされるEVがラインナップに並ぶ中でどこまで収益性を維持できるかが焦点となる。

最も大きなリスクといえるのが、他の国内自動車メーカーでも問題となっている中国市場での低迷だ。

ホンダの第1四半期の同市場での販売台数は30万9000台の前年同期比5%減で、2桁減に見舞われている日産自動車やマツダに比べて健闘した。だが、7月は同32.8%減の8万9691台と急減している。

三部敏宏社長は中国勢について「想定する以上に先を行っている」と危機感を示す(写真:ホンダ)

中国市場は消費の冷え込みに加えて、BYDやテスラといった新興EVメーカーや現地民族系メーカーが新型EVを次々と投入。競争が激化し、ガソリン車が主体だったホンダを含む日本勢はシェアを奪われつつある。

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