私たちは出口のないトンネルの中で、後ろの扉を閉ざされて手探りで歩いている。この気持ちがわかるか--東電幹部・飯舘村説明会での一問一答

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質問者16 いつの検討事項について、いつ、発表したかが、まったく伝わってこないので、検討事項報告会見という形で、これまでの検討事項のすべてについて、こうなったと、まとめて言ってもらいたい。可能かどうか。

東電 可能であると思っている。

質問者16 それでは、いついつの検討事項は、こうなったという会見を絶対にするという回答と受け止めてよいか。

東電 できるものはやらせてもらう。

質問者16 絶対か。

東電 はい、その通りである。

質問者17(男性) 飯舘村には、村外から村内に働きにきている人もいる。そういう人も仕事を失うが、補償しないのか。

東電 住まいは村外で、村内で働いている方で影響が出るという件についても、補償のなかで考えてまいりたいと思っている。

質問者18(男性) すべての者に対する補償を早急に、とは言っているが、言葉だけで、さっぱり前に進まない。飯舘村は畜産の村だ。私は酪農家だ。村には11戸の酪農家がいるが、今日、全員に集まってもらった。その中で、みなさんと2時間にわたって話し合いをした。何を話したかと思うか。これから酪農をどうするのだ、牛をどうするのだ、そういう話をした。そして、どうしたと思うか。苦渋の決断だ。飯舘村に酪農家はいなくなる。本当に苦渋の決断である。

和牛であれば、牧場で預けるとかできる。しかし、乳牛は違う。搾乳という作業が伴う。他所に連れて行って、搾乳、糞出しという一連の作業をするのは困難だ。それと私たちはいままで40日間、牛乳を毎日、棄て続けている。これはまだまだ続くだろう。お金を棄てているのだ。

しかし、その一方では、餌は与えなければならない。お金がかかる。懐から、そのお金を出さなければならない。その場合、牛の餌を削ることになる。牛はやせる。東電のあなたがた、このあと、私の家に来てください。よーく、牛を見てください。

どういう状態で、牛がいるのか。私は飼い主として、かわいそうで、かわいそうで。それで、今日、酪農家のみなさんに集まってもらって、苦渋の決断をしたのだ。

また、もしかしたら、ひょっとしたら、このあと、ここで酪農できるのか、そういう微かな望みもあった。ただし、それもことごとく、うち砕かれた。というのは、牧草の放射線量が300ベクトルという非常に厳しい数字が規制された。

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