中国自動車市場で「地場メーカーのPHV」が大躍進 EVとPHVの合計では、BYDがテスラを追い抜く

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「PHVは(搭載する電池を)充電して走ることも、ガソリンを給油して走ることもでき、走行可能距離を心配する必要がない。さらに(原価が高い)車載電池の搭載量が少ないため、製造コストもEVより安くできる」

中国の民営自動車大手、吉利汽車集団の副総裁(副社長に相当)を務める王瑞平氏は、財新記者の取材に対してPHVのメリットをそう解説した。

中国の地場メーカー各社はBYDの後を追い、PHVのラインナップを増やしている(写真は吉利汽車のウェブサイトより)

現時点の中国市場で、PHV躍進の恩恵に浴しているのは(BYDや吉利などの)中国の地場メーカーだ。2023年6月のメーカー別のPHV販売台数ランキングを見ると、上位10社のうち外資系合弁メーカーは9位に入った1社だけで、残り9社はすべて地場メーカーだった。

VWも中国向けPHVを開発へ

「中国の自動車の走行環境は諸外国と大きく違う。例えば都市部のラッシュアワーの平均走行速度は、中国では(激しい渋滞のために)おおむね時速30キロメートル以下だが、ヨーロッパでは時速50キロメートルに達する。走行速度が低い状況では、モーターで走行するほうがエンジンで走行するよりエネルギー効率が高い」

前出の王氏はそう語り、地場メーカーが中国の走行環境に適したPHVを積極投入していることが、消費者に評価されているとの見方を示した。

本記事は「財新」の提供記事です

とはいえ、外資系合弁メーカーも手をこまぬいているわけではない。ドイツのフォルクスワーゲングループ(VW)は7月、国有自動車最大手の上海汽車集団との合弁会社でPHVを開発することを決め、中国市場での巻き返しを目指す。

(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は8月4日

財新 Biz&Tech

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