イーブイの公式LINEを通して見積もりや段取りのやり取りをしていくうちに、病状は回復に向かっていった。ただ、退院したとしても体力的に自分では片付けられそうにない。心配した両親が家に来ることもあるかもしれないので、予定通り片付けを依頼することになった。
「いざ家に帰れないとなったときに、人間はいろいろあると思うんですよ。たとえばスマホやパソコンの中身を見られたらどうしようとか。でも人間は自分が死んだときのことまでは頭回らないと思うんですよね」(二見社長、以下同)
あくまで推測ではあるが、この依頼者もイーブイに言わないだけで両親に今の部屋を見られたくない理由があったのかもしれない。
依頼者は必ずしも、現場にいなくていい
今回のように、依頼者が現場に立ち会わないケースは全体の1~2割にまでのぼるという。その多くは、「恥ずかしい・後ろめたい」という理由からだ。
「知らないうちに綺麗になっていたらいいというか、現実から目を背けたいというのはあるんだと思います」
そういった理由でも同じように鍵を郵送し、最初から最後まで対面することなく片付けを依頼することも可能だ。イーブイのスタッフが部屋の写真を公式LINEで依頼主に送り、「いるもの・いらないもの」を随時ヒアリングしながら作業を進めていく。
亡くなった住人の遺族からの依頼も多い。遠方に住んでいるので片付けには立ち会えないが、遺品だけは先に仕分けして持ち出してくれている。ほかにも、こんな理由から現場に立ち会えない依頼者もいた。
「離婚を機に子どもと家を出る予定のお母さんからの依頼でしたが、夫からずっとDVを受けていたみたいなんです。おそらくDVも離婚の原因のひとつでしょう。引っ越しの作業中にもしも夫が帰ってきたらまたDVを受けてしまうかもしれないとのことで、現場に依頼者がいないというケースもありました。一般的な引っ越し業者にはなかなかお願いしづらかったんだと思います」
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