「斎藤佑樹」の活躍に目を細める栗山の野球哲学 ビジネスの世界でも応用できる「ギバーの精神」
他人が喜ぶ姿を見ることが、自分が得る喜びに勝る。年齢を重ねるごとに自然とそう思うようになった。さらには見返りを期待して行動するのではなく、自分の成長のために努力することが最も価値があると感じるようになっていった。
栗山氏自身、大勢の選手とスタッフで構成される日本ハムを監督として10年間マネジメントしてきた経験が大きいという。
就任5年目の2016年に日本一を経験しているものの、その後はなかなか勝ちきれず、2019年から2021年までは3年連続でパ・リーグ5位。心を尽くしても思いどおりにいかない時期を長く経験した。それでもすべての出来事や経験には意味があり、その捉え方一つで、どれだけポジティブになれるかが大事だと栗山氏はいう。
「北海道に住んでいて、雪かきをしていると、これ、春になって暖かくなれば自然と(雪は)消える。それなのに何でこんなしんどい事、1日中やっているんだろうって最初は思う。
でも、これが自分のトレーニングになっていたり、我慢しながら心をコントロールすることを覚えている時間だって思うと、それもまた意味があったりする。すべてはやっていることを自分がどう捉えるかというのを、多分、生きてる間にわれわれはずっと問われていて、それに早く気がついたほうが、すべてがうれしいことになる。
そう考えられれば選手たちはいくらでも野球のためだけに勝負ができるので、そこにもっていってあげたいって思うだけなんですよ。選手が喜ぶ、良くなる事が一番なので」
ユニクロのCM「いいよね」
栗山氏の人生哲学は、彼の監督業や選手との関係性にも深く影響していることがうかがえる。話はかつて夏の甲子園を沸かせ、2021年に日本ハムで現役を引退したドラ1右腕の現在に及んだ。
「テレビを見ていて、斎藤佑樹がユニクロのCMに出てるのが、めっちゃうれしいんですよ。佑樹らしいじゃないですか。透明感があって、彼の人の良さが出ていて。
苦労させたな、俺も無茶苦茶言ったな。でも、今の佑樹の姿を見ていると、苦労してきた事もきっと意味があったんだろうなっていう表情に見えるので、そのときにちょっとだけうれしい。そんな感じです。
人間、苦しんでるときは苦しい表情になるから彼の人柄の良さが見えづらくなるじゃないですか。でも今は僕も彼の良さが出ているのを感じているし、あのCMはいいですね」
無料会員登録はこちら
ログインはこちら