コロナ禍脱した?JR東「駅利用者回復」ランキング 2022年度「上位100駅」、19年度比で見えた実力差
品川駅の定期客数は、2020年度に14万5447人へと一気に約7万4900人減少。翌2021年度もさらに減って12万0579人となった。上位100駅中で定期利用者比率の減少率を比較すると、1位は68.9%から58.9%へと9ポイント低下した大崎駅、次いで2位が58.4%から50.2%へと低下した品川駅だった。
乗車人員に占める定期客の比率が下がった駅をランキングすると、大崎・品川・武蔵小杉・田町・大森・大井町と、上位6位には品川周辺、または京浜東北線沿線など同駅へのアクセスが便利な路線の駅が並ぶ。テレワークや定期券を利用しない通勤が広がったエリアと考えられそうだ。
回復が進んだ駅はどこか
では、最も利用者数の回復が進んでいる駅はどこか。2019年度と比較すると、1位は91.4%まで戻った桜木町駅(2022年度6万4698人)。同駅は横浜みなとみらい21地区の玄関口で、レジャー・観光客の復活が利用者数回復の要因になったと考えられる。実際に、定期外客数は97.1%と、コロナ前とほぼ遜色ないレベルに戻っている。
2位は武蔵野線の北朝霞。同駅は2019年度比で平均乗車人員が90%まで回復しており、定期客比率も67.1%と比較的高い状態を維持している。以下、3位は南越谷、4位は金町、5位は辻堂と、都心のターミナルよりも郊外の駅で回復が進んでいる状況が見てとれる。全100駅の平均値は約81%で、コロナ前比で2割減程度の状態だ。
一方、2021年度と2022年度を比べると、最も増加率が高かったのは東京ディズニーリゾートの玄関口である京葉線の舞浜駅。1日平均乗車人員は1万7091人増え、36.5%増加した。次いで2位は東京ドームなどの最寄り駅である水道橋(32.9%増)、3位は若者の街原宿(24.3%増)、4位は首都のターミナルである東京(22.7%増)、5位は韓国文化で人気を集める新大久保(21.9%増)と、観光要素の強い駅が並んだ。いずれもレジャーなどの定期外客増が牽引した形だ。新大久保は2019年度比でも88.1%まで回復している。
足元では鉄道利用の回復がさらに進み、2023年度の駅平均乗車人員はさらに増加しそうだ。一方で、定期客についてはすでに頭打ちに近い状態と多くの鉄道関係者は話す。テレワークの定着に加え、都心各地で進む再開発による影響など、駅の利用者数は鉄道利用の回復だけでなく、社会の姿や都市構造の変化を映すバロメーターといえるだろう。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら