疑惑の色を一層濃くしているのが、2019年4月にビッグモーターへ導入した事故車修理における「完全査定レス」の仕組みだ。
それまでは、ビッグモーターが修理作業の見積もりを作成し、損保ジャパンの損害査定人(アジャスター)が見積もりをチェックし、問題がなければ修理に着手するという流れだった。
そのチェック工程を完全に省略し、ビッグモーターの見積もりをほぼノーチェックで通して保険金を支払う形に変えたのだ。
当時の板金部門の部長は社内向けのLINEで、「全29工場が完全査定レスとなり大幅に業務効率が上がります」と高らかに宣言していた。
しかし、この時点ですでに実態のない修理作業による保険金の水増し請求は横行していたわけだ。
「見積もりの出来が悪い」「作業と関係ない部品が請求に含まれている」といったクレームが、三井住友海上火災保険や東京海上日動火災保険からビッグモーターへ頻繁に寄せられていた時期でもある。
そのような状況で、損保ジャパンのみが完全査定レスの保険金支払い態勢を敷くことは、「通常ならあり得ない」と大手損保の幹部は話す。
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