北海道「並行在来線」貨物存続に立ちはだかる難題 費用と複雑な「支線」の扱いで議論紛糾の可能性

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藤城支線を走るDF200形牽引の貨物列車
函館本線・七飯―大沼間の通称「藤城支線」を走る貨物列車(写真:杉山茂)
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2030年度末に予定される北海道新幹線の札幌延伸開業に伴いJR北海道から経営分離される並行在来線のうち、函館本線・長万部―函館間(約148km)についての議論が動き出す。

7月26日に札幌で開く、国土交通省や北海道庁、JR北海道、JR貨物の4者協議で、旅客輸送の存続が不透明な同区間を貨物路線として存続する場合のメリットやデメリットを整理したうえで、2023年内にも有識者会議(道庁・国交省の共催)を設置。路線の運行形態や費用負担などについて本格的な議論が始まる見通しだ。

複雑な路線、全区間残すのか

長万部―函館間は1日50本程度の貨物列車が走る物流幹線で、この区間が廃止となれば、それは北海道から鉄道貨物が消えることを意味する。さらに、札幌までのネットワークがあってはじめて成り立っている仙台から北の鉄道貨物網も存続できなくなる可能性がある。

ただ、「貨物路線として残す方向にはあるが、4者で存続を合意した事実はない」(国交省幹部)。議論の行方によっては依然、存廃まで含め予断を許さないのが現実だ。

というのも、今回議論される長万部―函館間は複雑に入り組んだ路線になっていて、費用の分担についてはもちろん、そもそもどの区間を残すかも含め議論が紛糾する可能性がある。

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