「アプリ婚夫婦」学校経由の出会い並に多い"現実" きっかけは「ご友人の紹介」にする必要はない

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しかし統計的にネットを通した出会いは急増しており、今や成婚手段としてトレンド化すらしています。国立社会保障・人口問題研究所が2021年に実施した大規模調査結果(第16回出生動向基本調査)がそれを示しています。

定期的に実施される国の大規模調査で、2018年から2021年にかけて結婚した方に、パートナーとなった方との「出会ったきっかけ」を質問したところ、13.6%が「ネットで」との回答となりました。「友人・兄弟姉妹経由」「職場や仕事関係」「学校で」に次いで第4位にランクインしています。また、第3位の「学校で」の14.1%と0.5ポイントの僅差であり、今や「ネット経由の成婚は、学校での出会い経由の成婚と同程度発生している」ことがわかります。

前回の2015年調査と比べると、「学校で」は14.2%から14.1%と割合にほぼ変化がないのに対して、「ネットで」の回答は6.0%から13.6%へと倍増しています。ですので、約5年先に実施されるだろう第17回出生動向基本調査では「学校で」の成婚割合を「ネットで」が追い抜くのではないかと筆者はみています。また、第2位の「職場や仕事関係」(28.2%⇒21.4%に下落)に迫る割合になるかもしれないとも思います。

出会い系イメージを引きずる中高年

筆者の周りでも、最近は20代の婚活成功者はほとんどがアプリでの出会いです。若い世代の彼らはアプリ特有ともいえる多様な検索機能や推薦機能などの仕組みをうまく利用して、運命の相手に出会っています。皆さん恥ずかしがらずに「アプリがきっかけ」と話してくれます。

しかし、40歳代以上の方では、アプリと聞いたとたんに「ネットは怖い」だけならまだしも「セレブなお嬢様たちは使わないよ」的なニュアンスで語る教育者まで登場します。人口が高齢化してシルバー民主主義リスクが高まる社会においての「浦島太郎状態の価値観」とはまさにこのことだと思います。

日本ではネット経由の出会いについて、最初は「怪しい出会い系」の時代もあったそうですが、令和時代の今となっては、婚活ツールとして発展し、学校での出会いと同割合の成婚が発生するツールとなりました。

そもそも自らが今の時代におけるネット経由の婚活経験もないのに、イメージだけで全否定するような口出しがあったのだとしたら、きわめて恥ずかしいことだと筆者は思います。

未婚化が止まらない日本。「幸せの応援のカタチ」が独善的なモラルの押し付けになっていないのか、いま一度、このホテルだけではなく、再考いただきたいと思います。

天野 馨南子 ニッセイ基礎研究所 人口動態シニアリサーチャー

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あまの かなこ / Kanako Amano

東京大学経済学部卒。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。1995年日本生命保険相互会社入社、99年より同社シンクタンクに出向。専門分野は人口動態に関する社会の諸問題。総務省「令和7年国勢調査有識者会議」構成員等、政府・地方自治体・法人会等の人口関連施策アドバイザーを務める。エビデンスに基づく人口問題(少子化対策・地方創生・共同参画・ライフデザイン)講演実績多数。著書に『未婚化する日本』(白秋社・監修)、『データで読み解く「生涯独身」社会』(宝島社新書)等。

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