大震災で発揮された高速バスの底力、超法規措置で大量運行を実現

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3月16日、関東の主だったバス会社の社長や幹部を集めた会議で、国土交通省の担当者は異例の要請を行った。「新幹線の代替手段としてバスをとにかく大量に走らせてほしい」「“乗れなかった”という事態はないようにしてほしい」──。

11日の未曾有の大震災の影響を受けたのはバスも同じだった。特に三陸海岸沿いの路線を持つバス会社は、十数台規模で車両を失ったところも少なくない。東北地方と首都圏をつなぐ高速バスも、東北自動車道の閉鎖に伴い運休を余儀なくされていた。しかし最大の交通手段である新幹線が寸断された今、代わりはバスしかない。

国交省は被災直後に東北道の全線を点検し、致命的な損傷を受けている箇所がないと確認した。そこで14日には関東一円のバス事業者に、高速バスを警察や自衛隊と同じ緊急車両に指定するという荒技を通達。また従来は免許を持つ業者にだけ認めていた運行も、特例として通行許可証を取得すれば運行を認める超法規措置を実施。16日、あらためてバス事業者に「バスを大量に走らせてほしい」と、要請を行った。

20日かからず震災前の2倍までバスを増便

こうした措置を受け、最初に動いたのはJRバス東北だ。16日の早朝に仙台市から新宿駅に向けて3台のバスを発車。最初の主な利用者は出張に来て震災で足止めを食らった人や東北を脱する人が大半だった。

首都圏では翌17日の7時前、群馬県に地盤を置く日本中央バスが3台のバスを仙台に向け出発。国際興業も深夜11時過ぎに盛岡に向けて1台のバスを走らせた。

3社の運行再開を皮切りに、各社も後に続いた。1回当たりのバスの台数を大幅に増やし、震災前、首都圏と東北方面を結ぶバスは1日30路線、66台で1980人を運んでいたのが、21日の段階では1日23路線と7割程度にとどまったものの、バス93台で、3470人を輸送できるまでに急拡大した。


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