太陽電池の主原料であるシリコンの相場急落に伴い、太陽光モジュールの市場価格が下落している。
市場調査会社のインフォリンク・コンサルティングが6月22日に発表したデータによれば、太陽光モジュールの定格出力1W(ワット)当たりの取引相場は1.4~1.6元(約28~32円)。2022年には同約2元(約40円)だったことを考えると、20~30%の値下がりだ。
また、業界団体の中国有色金属工業協会シリコン分会が6月21日に発表したデータでは、単結晶シリコン原料の市場価格は1トン当たり6万8100元(約135万円)だった。これは5月末時点の同約13万元(約258万円)のほぼ半値であり、2022年末につけた最高値の同約30万元(約595万円)から、半年で8割近くも下落した格好だ。
シリコン相場の急落の背景は、原料メーカーの生産能力が大幅に拡大したことだ。シリコン分会のデータによれば、2023年1月から5月までの中国国内の多結晶シリコン生産量は累計53万トンに達し、前年同期比90%増加した。そのため市場が供給過剰に陥り、激しい価格競争を招いたのだ。
太陽光発電所の建設には追い風
先物取引大手の中信期貨は、中国のシリコン原料の生産量が2023年に(通年で)140万トン、全世界では同155万トンを上回ると予想する。これを太陽光モジュールに換算すると、600GW(ギガワット)超の製品を生産できる量である。
現在のシリコンの取引相場は、すでに原料メーカーの生産コストを割り込んでいると、シリコン分会では見ている。太陽光発電所の開発・運営業者の立場では、これは千載一遇の商機だ。シリコン原料の値下がりは太陽光モジュールの調達価格の低下につながり、発電所の投資収益率が改善されるからだ。
UBS証券の試算によれば、太陽光モジュールの市場価格が1W当たり1.7元(約34円)以下になると、太陽光発電所の大部分が7.5%の投資収益率を確保できるという。
調達コストの低下は、太陽光モジュールの需要を大きく底上げすることになりそうだ。中原証券の調査レポートは、2023年後半に中国国内の太陽光発電所の建設が加速し、通年の建設規模は2022年の5~7割増しの130G~150GWに達すると予想している。
(財新記者:趙煊)
※原文の配信は6月27日
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