「軽井沢移住」子どもの教育メリットとデメリット 子の自己肯定感は「競争環境」との距離で決まる

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3つ目は、運動する機会が増えたということだ。

地方の保育園は、園庭が広い。縄跳び、竹馬、ドッジボールの外遊びをする機会が圧倒的に多い。娘の運動会で、竹馬で園庭を歩くのを見て、驚いたものだ。近所の公園でも、スルスルと木登りに興じる。身体の使い方や、体幹をつくる上で良い土台になりそうだ。さらに冬のシーズンには、ウィンタースポーツが加わる。車で10分で、軽井沢プリンスホテルスキー場にアクセスできる。町民であれば、小学生は格安でスキースクールに入ることができる。公園に行く感覚でスキー場に行ける。寒さに慣れて、運動する頻度も多く、体の芯が強くなる環境なのではないかと感じている。

デメリットは?

最後の変化は、友人の家で遊ぶ機会が増えるということだ。

東京にいた時は、幼稚園と自宅の往復がほとんどで、友だちと遊ぶのは、近所の公園でたまたま会った時に限られていた。しかし、軽井沢に来てから、長女はお友だちの家で遊ぶ機会が劇的に増えた。お泊まりに行き来する機会も増えた。イギリスでは、学校帰りにそのまま友人の家に行くことをPlaydateと呼ぶらしいが、まさに、学校で友だちと遊ぶ約束をして、そのまま友だちの家に行く機会が頻繁になった。自宅のインターフォンが鳴り、開けてみると子どもの友だちが「こんにちは〜!」といって突然現れるということも日常茶飯事だ。

このように、子育て環境という目線で見た時、自然のある場所にメリットは多い。

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だがもちろんデメリットもある。

・「勉強しなきゃ」というプレッシャーが少ない。僕らはそれをメリットに感じているが、学力をつけるという目線で見たときに競争は激しくない。
・習い事の選択肢が限られる。
・高校以降の教育の選択肢が限られる。
・学校が遠いため、子どもの送り迎えが車になってしまう。子どもが歩く機会が減ったり、友だちと一緒に下校しながら道草したりするスペースが減る。

とはいえ、これらは、子どもがまだ小さいうちはあまり気にしなくてもいい範囲のデメリットという印象だ。自然豊かな環境で育つことが、統計的に子どもの発育に良い影響を及ぼすのか、そのエビデンスは正直わからない。だが、大人の体感としては、心のスペース(余白)を広く感じながら、日々を過ごせる環境なのは確かだ。

佐宗 邦威 多摩美術大学特任准教授、戦略デザインファーム「BIOTOPE」代表

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さそう くにたけ / Kunitake Saso

東京大学法学部卒。イリノイ工科大学デザイン学科(Master of Design Methods)修士課程修了。P&Gにて、ファブリーズ、レノアなどのヒット商品のマーケティングを手がけたのち、ジレットのブランドマネージャーを務めた。ヒューマンバリュー社を経て、ソニークリエイティブセンター全社の新規事業創出プログラム(Sony Seed Acceleration Program)の立ち上げなどに携わったのち、独立。『直感と論理をつなぐ思考法』『模倣と創造 13歳からのクリエイティブの教科書』著者。

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