「軽井沢移住」子どもの教育メリットとデメリット 子の自己肯定感は「競争環境」との距離で決まる

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「仮にどの学校に入ったとしても、軽井沢の自然環境にいること自体が大きな学びになるよ。長野県は、公の教育自体の質が伝統的に高いし、情操教育を大事にしてくれるんだよね。僕は、移住前はシンガポールで教育を受けさせていたけど、日本で教育を受けさせるなら長野が良いと思ったんだよね」

軽井沢には、子どもの自主性を大事にし、学年の枠を超えたユニークな教育をする軽井沢風越学園という学校がある。軽井沢インターナショナルスクールと呼ばれる全寮制のユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパンもある。近隣に目を向ければ、佐久穂町にはオランダのイエナプランによる大日向・小中学校もあり、先進的な教育機関も少なくない。そのような背景もあって、学校の選択についてはどうなるかわからない状態のまま、移住への意思決定をした。

過熱する「受験戦争」

実際、東京都心を中心とした中学受験の過熱ぶりは目を見張るものがある。

都内に住んでいると、小学校3年生頃から塾に通い始めることも珍しくない。僕が子どもの頃に比べて、さらに早期化が進んでいるのだ。

急激に変化する学校現場に触れる中で、教育に対する価値観が変わってきているのを感じた。大きく分けると次の3つに分類できるだろう。

① いまだ教育のOSとなっている一斉授業の中にあって、「探究」という一人ひとり違う学びの実現が求められている
② デジタルの学びが広がることで、個別最適な学びが実現する一方、学校というリアルな場においては、身体性や感性を育む教育がより注目されている
③ 一斉休校において、子どもたちに「余白の時間」が生まれた。その後の授業の再開を見た時に、「詰め込み」ではなく、自由に自分らしく学べる余白や創造的な学びが必要なのではないかと考える

とくに、③ 「余白」の問題は深刻だ。

教育現場の先生に話を聞いてみると、彼らも子どもの余白の確保は喫緊の課題だと認識している。増え続ける学びのポイントを押さえつつ、教科学習を統合したりして子どもに余白をつくろうと奮闘している。たとえば、東京のある名門附属校では、総合学習の時間にSTEAM教育(科学・技術・工学・アート・数学の教育分野を総称する語)を採り入れて、詰め込みに偏らない教育を模索している。

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