「軽井沢移住」子どもの教育メリットとデメリット 子の自己肯定感は「競争環境」との距離で決まる

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だが一方で、高学年になると受験や進路をどうするかという悩みが出てくるのも当然のことだ。

「受験を頑張るのも人生経験ではないか」
「社会に出たら競争が待っているんだから、子どものうちから慣れていたほうが有利だろう」

という考え方もあるし、一概に間違いだとも思わない。

果たして、子どもの人生にとって、バランスをどのようにとればいいだろうか。実は、僕が経営している戦略デザインファームBIOTOPEも、基本的に自分でやりたいことを考えて、強みを伸ばすことに時間を使うポリシーで運営している会社だ。多様性を重視すると、自然に共通の尺度がなくなり、競争的な環境ではなくなっていく。このような環境は個人にプレッシャーがかかりにくいので、比較的抑圧や無理が少なく、お互いがお互いをケアする環境になりやすい。実際、うちの会社でもいじめや派閥などはない(たぶん)。これは、「余白」のある環境のメリットだ。

余白のある環境のメリットとデメリット

一方で、デメリットもある。「余白」のあるスタイルに慣れてしまうと、そうでない社会に放り出されたときに困惑してしまうことだ。ビジネスの世界には、実に理不尽なことが多い。上司の「これをやれ」という指示に対して、素直に「はい、わかりました」と絶対服従するようなノリは、自分の頭で考える人ほど理不尽に感じてしまう。

余白のある環境で育った人が上意下達な組織に就職すると、「今までは意見を聞いてもらえたのに。こんなに聞いてくれない環境があるのか……」と、慣れるのに苦労する。当社でも同じことが起きていて、BIOTOPEにインターンでやって来た学生は社会に出てからそのギャップに直面した人も多い。

自分のやりたいことを実現できるような余白のある環境で育ってきた人は、クリエイティブやイノベーションといった部門では受け入れられやすい。一方で、オペレーションを担う部門では、組織人は「駒であること」を求められる。社会人として生きていく力を高めていく上では、どちらの環境下でもパフォーマンスを出せることも大事なことだと思う。

両者の壁を突き崩すような解決策は、2つの間を往復することだ。

僕が教育論の分野で大きな影響を受けた人物の一人に、『第3の教育—突き抜けた才能は、ここから生まれる』の著者であるラーンネット・グローバルスクール代表の炭谷俊樹さんがいる。炭谷さんは探究型教育の第一人者で、「自分で考え、選択し、自立的に行動して自分の人生を切り開いていく」という人材育成をテーマに活動している。

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