日経平均が3万4000円以上になる条件とは何か PBR1倍割れ銘柄も減少、今後のカギを握るのは?
株価と景気ウォッチャー調査の方向感が多くの局面で一致していることを踏まえると、株価が景況感に影響を与えているという、逆の因果関係の存在の否定はできない。
それでも 2022 年以降の日本経済がアメリカ対比で方向感が良いのは事実であり、そうした景気認識に基づいて日本株が選好されてきた可能性は高いと筆者は考えている。先行き判断DIが5月にわずかながらとはいえ低下したことは、株式市場にとって要注意であろう。
また「追加的」なという視点では今回の株高に大きく貢献したPBR1倍割れの解消が”進んでしまった”ことに注目したい。東証がPBR1倍割れとなっている企業に対して資本効率の改善を要請したことに企業側が呼応し、2023年3月期決算では即効性のある改善策として多くの自己株買いが発表された。
この間、株式市場で物色対象になったのはPBR(株価純資産倍率)0.8~0.9倍など1倍の一歩手前にいる企業群だ。これらの株価上昇が日経平均株価の上昇に大きく貢献したのは周知の事実である。今や、日経平均採用銘柄に占めるPBR1倍割れの企業数は2023年以降約20社も減少しており、直近では110社程度となっている。
今、市場参加者が期待する展開とは?
依然として約半数の企業がPBR1倍割れの状態ではあるが、PBRが1倍手前で、かつ業績の安心感を兼ね備えている銘柄となると、物色対象はあまり多くはないように思える。また短期筋からすると、PBR1倍回復は利益確定売りのきっかけにもなりうる。
他方、ここへ来て明るい兆候が散見されるようになったのはアメリカだ。現在の状況を端的に言えば「景気の急減速を回避し、なおかつインフレ沈静化に成功する」というFED(アメリカの中央銀行)を含む、多くの市場参加者が渇望していた展開が到来しつつある。
直近の6月FOMC(連邦公開市場委員会)では、利上げ休止を決定すると同時に、政策金利見通し(ドットチャートの中央値)は5.75%(誘導目標レンジ上限)に引き上げられた。だが、インフレ率が鈍化している現状に鑑みれば、実際にそこまでの利上げが実施される可能性は低いだろう。現実的には5.25%あるいは5.5%が利上げの最終到達になると筆者は判断している。
インフレが沈静化に向かい、FRB(連邦準備制度理事会)の金融引き締め終了が近づく中、製造業に関しては最悪期脱出の兆候が強まっている。
確かに、株式市場で注目度の高いISM製造業景気指数は5月に46.9と、依然として好不況の分かれ目となる50を下回っている。それでも3月からは小幅に改善し、先行きも緩やかな回復が見込まれる状況になりつつある。というのもISM製造業景況指数の調査項目である「在庫」指数が過去10年程度のボトム付近まで低下しているためだ。
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