立憲民主が「行き倒れ危機」に追い込まれたワケ "泉降ろし"顕在化、政権奪取は「夢のまた夢」

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泉氏の動揺を見透かしたように、有志の会のリーダーとされる小沢氏は、国会会期末の21日に自らの党内グループ「一清会」の発足を公表した。小沢氏は、1993年に自民党を離党して非自民・非共産の細川護熙政権を誕生させる一方、2012年には手兵を率いて民主党を離党して当時の民主党政権を崩壊させたことなどから、「政界の壊し屋」との異名を持つ。

ただ、小沢氏は2021年衆院選では小選挙区で敗れての比例復活に甘んじ、20年以上にわたって続けた政治塾も今年2月に休止したことで、「いわゆる『小沢神話』は過去のことのなった」(自民長老)とみられていた。その小沢氏が今回、公然と動き出したことで、政界では「今度は立憲を壊すつもりでは」との見方も広がる。

16日に開かれた「有志の会」の発足会見では、党内の衆院議員の半数を超える53人の賛同が得られたと発表されたが、小沢氏の動きに不信感を持つ議員も含まれていた。

複数の人物が「趣旨には賛同したが、小沢氏が中心ということで政局絡みとの疑念を持ち、呼びかけ人には加わらなかった」(有力議員)と漏らしている。「小沢氏の背後に共産党の影が感じられる」(同)のが理由だ。基本的に中道路線を追求する泉代表は共産党との共闘には否定的だが、小沢氏はこれまでも水面下で志位和夫共産党委員長との連携を探ってきたとされるからだ。

松原氏離党の陰に蓮舫氏のくら替え説

そうした中、今回の「有志の会」「小沢グループ」の発足による路線対立の顕在化と並行して、党内に執行部と離反する動きが出始めた。その典型が松原仁衆院議員の動きで、同氏は6月9日、党執行部に離党届を提出した。当選8回で、旧民主党政権時代に拉致問題担当相も務めた同氏の離党の理由は「10増10減」に伴う選挙区調整への不満だ。

前回衆院選では、東京3区で自民党の石原宏高氏を破った松原氏だが、旧3区が分割されたことで、自らが地盤とする大田区西部が含まれる新26区での出馬を希望したが、党執行部に拒否されたのが離党の理由で、離党会見では「現職の意向優先が当たり前だ」と口を尖らせて批判した。

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