「底辺への競争」、現状から抜け出すための提言 『99パーセントのための社会契約』など書評4冊

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ブックレビュー『今週の4冊』

 

[Book Review 今週のラインナップ]

・『99パーセントのための社会契約 会社、国家、市民の未来』

・『インフレ・ニッポン 終わりなき物価高時代の到来』

・『人生を豊かにする科学的な考えかた』

・『ティラノサウルス解体新書』

『99パーセントのための社会契約 会社、国家、市民の未来』アレック・ロス 著
『99パーセントのための社会契約 会社、国家、市民の未来』アレック・ロス 著 / 依田光江 訳(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)

評者・早稲田大学教授 柿沼陽平

壊れゆく米国社会をどう再建すべきか。そう問う著者は、オバマ政権時代、4年にわたり、ヒラリー・クリントン(当時国務長官)の参謀を務めた人物だ。

「底辺への競争」に対抗し現状から抜け出すための提言

米国はアメリカンドリームを掲げる場所である反面、スラム街も広がる。上に行くも下に行くも能力次第。だが最近の貧富の格差はひどい。一部の都市を除き、公共設備もオンボロで、最低賃金も上がらぬまま。それでいて、大企業500社が米国全体の経済生産の3分の2を占める。

それは、企業・政府・市民をめぐる社会契約(社会の成文法も暗黙のルールも含む)に深刻な亀裂が入っているからだ。社会契約は道徳規範であり、社会を繋ぎ合わせる接着剤である。これがなくては社会自体が消滅する。

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