匿名労働者が担う、細切れの「ゴースト・ワーク」 『ゴースト・ワーク』など書評4冊

✎ 1〜 ✎ 403 ✎ 404 ✎ 405 ✎ 最新
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
ブックレビュー『今週の4冊』

 

[Book Review 今週のラインナップ]

・『ゴースト・ワーク グローバルな新下層階級をシリコンバレーが生み出すのをどう食い止めるか』

・『少人数学級の経済学エビデンスに基づく教育政策へのビジョン』

・『日本は本当に戦争に備えるのですか?  虚構の「有事」と真のリスク』

・『世界史の中のヤバい女たち』

『ゴースト・ワーク グローバルな新下層階級をシリコンバレーが生み出すのをどう食い止めるか』メアリー・L・グレイ、シッダールタ・スリ著
『ゴースト・ワーク グローバルな新下層階級をシリコンバレーが生み出すのをどう食い止めるか』メアリー・L・グレイ、シッダールタ・スリ著/柴田裕之 訳、成田悠輔 監修・解説(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)

評者・経営共創基盤共同経営者 塩野 誠

パンデミックは私たちの労働環境に変化をもたらした。リモートワークの普及によって家事や育児がやりやすくなった人は多いだろう。その環境は、インターネットとソフトウェアに支えられている。ネットワークで結ばれた人々は何らかのタスク(作業)を達成するために、自宅から労働力を提供する。

システムを支える細切れのタスク 担うのは無数の匿名労働者

本書は、効率化を極限まで突き詰めたリモートワークの光と影、人間とマシンの関係性を多面的に分析する。中心的な話題は書名のとおり「ゴースト・ワーク」、見えない労働者たちが担う仕事だ。

配車アプリ・ウーバーのようなサービスは、実はAI(人工知能)を含むソフトウェアだけでは完結しない。マシンにできない認証や情報のラベル付けは、細切れのタスクとして遠く離れた場所にいる生身の人間が行っている。これがゴースト・ワークだ。例えば、米国で行われる取引をリアルタイムで監視しているのはインドの小さな村の若者かもしれない。

次ページ『少人数学級の経済学』
関連記事
トピックボードAD