今も繰り返す革命vs.反革命、仏五月革命の新解釈 五月革命、危機の外交、スマートな悪など書評8冊

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[Book Review 今週のラインナップ]

・『居場所なき革命 フランス1968年とドゴール主義』

・『危機の外交 岡本行夫自伝』

・『なぜ「弱い」チームがうまくいくのか 守り・守られる働き方のすすめ』

・『スマートな悪 技術と暴力について』

[新書紹介 3分で4冊!サミングアップ]

・『自衛隊海外派遣 隠された 「戦地」の現実』

・『日本的「勤勉」のワナ』

・『イスラムがヨーロッパ世界を創造した』

・『カラーでよみがえる 軍艦島』

 

『居場所なき革命 フランス1968年とドゴール主義』 吉田 徹 著(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)

評者・BNPパリバ証券経済調査本部長 河野龍太郎

世界システム論の創始者I・ウォーラーステインによると、世界革命は2回あった。最初は、諸国民の春として知られる1848年の欧州各国の民衆蜂起で、次は1968年のパリを起点とする先進各国の学生の反乱だ。フランスの五月革命は、労働者を巻き込み、ゼネストにまで発展したが、短命に終わり、評価は今も定まっていない。

一般に五月革命は、ドゴール政権による労組の懐柔により学生が孤立し鎮圧され、直後の下院選挙での与党勝利で完全に終結したと解釈される。

本書は、フランス政治の第一人者が、翌年4月の国民投票におけるドゴールの敗北、退陣までを一続きの反革命と捉え、五月革命に新たな解釈を与える好著だ。

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