日立の「イタリア鉄道工場」どんな車両を製造中? 主力製品は高速列車、環境配慮ローカル車両も
マサッチョはディーゼルエンジンを搭載することで、主な動力源をバッテリーとしつつ、電力が不足したところでディーゼルエンジンに切り替えるという方法でこれを解決した。
ヨーロッパは、現在も全体の約40%が非電化路線となっていて、イタリアだけでも4000kmの非電化路線が存在する。これらの路線では毎日、ディーゼルエンジンを動力源とする車両が多数運行されている。幹線では100kmを超える路線も多数あり、バッテリーだけでの運行は現時点では不可能だ。
マサッチョは、バッテリーだけでの航続距離はおよそ10~15kmと比較的短いが、ディーゼルエンジンを組み合わせることで、この問題を解決した。将来的な目標としては航続距離100kmを目指し、バッテリー技術の開発を進めている。
バッテリーの電力は加速時のエンジン負荷を減らすためにも使用されるため、ディーゼル車両と比較して環境のみならず、優れた加速性能も実現させている。最高時速は160kmに達し、一般的なヨーロッパの幹線で、優等列車運行の邪魔になるようなこともない。
もちろん、エンジンを使用している間は無公害ではないが、バッテリーによってエンジン使用時間を大幅に短縮することが可能となる。バッテリーを効果的に用いることで、マサッチョは従来のディーゼル車両と比較して、燃料の消費量、二酸化炭素排出量ともに約50%の軽減を実現した。
イタリア以外で採用広がるか?
今回、工場内で実際に3モードを切り替えながら動かすデモンストレーションを体験した。架線からの給電モードと非電化区間の切り替えについては、運転席にあるタッチパネル式モニターの画面、もしくはボタンを操作するだけで、瞬時にパンタグラフが上下して切り替わる。非電化区間では、バッテリーモード、ディーゼルエンジンモードへの固定が可能だが、バッテリー走行中に電力が不足すれば、自動でディーゼルエンジンモードとなる。
マサッチョ・プラットフォームは、ヨーロッパ全土での運行に適合するよう設計されており、イタリア以外のヨーロッパ諸国での運行も可能だ。具体的な話はないというものの、将来的には非電化路線が多く残るドイツやフランス、中欧などへの販路拡大が期待される。
買収から約7年を経て、イタリアでは高速列車から通勤・ローカル列車までさまざまな車種で大きな存在感を示すようになった日立レールの車両。今後の成長に向けては、他国の鉄道会社での導入が広がるかどうかが大きなカギとなるだろう。
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