平気で「糖質ゼロ」「ノンアルビール」飲む危うさ 健康にいいように見える食品にも添加物が

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そのため厚生労働省は、使用を認め続けています。使用する際のいろいろな制限をつけていますが、それが本当に守られているかはわかりません。守られているとしても、人間にまったく害がないのかもわかりません。結局「害がないだろう?」という推定のもとに使われ続けているのです。

また、1つの加工食品には通常複数の添加物が使われますが、それらが合わさった場合の影響は調べられていません。添加物同士が反応して、毒性の強いものに変化することもありえますが、そうした毒性も、まったくといっていいほど調べられていません。こうした状況の中では、できるだけ添加物は取らないようにしたほうがよいのです。

添加物を避けていたら、食べるものがなくなっちゃう?

「でも、添加物をふくむ食品をすべて避けたら、食べるものがほとんどなくなっちゃうのでは……?」と心配する人もいるでしょう。

いいえ、心配ご無用です。できるだけ安全性の高い、すなわち「食べてもいい」添加物が使われている食品を買う、という現実的な選択をすればよいのです。

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たとえば、ビタミンCやE、クエン酸、乳酸など。これらはもともと食品にふくまれていて、動物実験の結果では、毒性はほとんど見られません。そうした「食べてもいい」添加物をふくむ食品をできるだけ選ぶようにするわけです。あるいは添加物を使っていない製品もあるので、それらを選ぶようにするのです。

さらに健康を気遣う人に、気をつけていただきたいのが「健康にいい」、あるいは「元気になれる」というイメージの食品に、危険な添加物が使われている可能性です。

例えば、「仕事をもうひと頑張りしよう!」と飲んでいる栄養ドリンクには、合成保存料の安息香酸Na(あんそくこうさんナトリウム)をふくんだ製品が多くあります。栄養ドリンクは、食品に分類されるものと、医薬品や医薬部外品に分類されるものがありますが、いずれにも安息香酸Naが使われているのです。

安息香酸Naは毒性が強く、ラットに一定量を与えると痙攣や尿失禁などをおこして死んでしまいます。また安息香酸Naは、ビタミンCなどと化学反応をおこして、人間に白血病をおこすことが明らかになっているベンゼンに変化します。

「糖質ゼロ」「ダイエット」とうたった健康飲料やノンアルコールビールにも、注意が必要です。こうした製品には合成甘味料のアセスルファムKやアスパルテーム、スクラロースが添加されていることが多くなっているからです。

アセスルファムKは自然界に存在しない化学合成物質で、砂糖の約200倍の甘味があります。しかし、イヌにアセスルファムKを0.3%および3%含むえさを2年間食べさせた実験では、0.3%群でリンパ球の減少が、3%群ではGPT(肝臓障害の際に増える)の増加とリンパ球の減少が認められました。つまり、肝臓や免疫に対するダメージが心配されるのです。

こんなふうに、一見、体によさそうな食品に、「食べてはいけない」添加物がふくまれていることもあるのです。

渡辺 雄二 科学ジャーナリスト

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わたなべ ゆうじ / Yuji Watanabe

1954年生まれ。栃木県出身。千葉大学工学部合成化学科卒業。消費生活問題紙の記者を経て、1982年にフリーの科学ジャーナリストとなる。食品・環境・医療・バイオテクノロジーなどの諸問題を消費者の視点で提起し続け、雑誌や新聞に精力的に執筆し、現在にいたる。

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